日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

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本の紹介

夢の減衰と記憶の入り口

『左川ちか詩集』川崎賢子編,岩波文庫,P35 料理人が青空を握る。四本の指あとがついて、次第に鶏が血をながす。ここでも太陽はつぶれてゐる。 たづねてくる空の看守。日光が駆け出すのを見る。 だれも住んでないからつぽの白い家。 人々の長い夢はこの家のま…

若松区有毛の溜池群 福岡県北九州市若松区有毛

福岡県北九州市若松区 有毛付近の地図を眺めると、無数の小さな溜池が密集している独特の景観が確認できます。これは、安定した水資源を得にくいという地形的な制約があり、それに対して、先人たちがつくりあげた水利インフラの痕跡です。 若松区の西側から…

いちにちのはじまり

『左川ちか詩集』川崎賢子編,P22 「出発」 夜の口が開く森や時計台が吐き出される。 太陽は立上つて青い硝子の路を走る。 街は音楽の一片に自動車やスカァツに切り鋏まれて 飾窓の中へ飛び込む。 果物屋は朝を匂はす。 太陽はそこでも青色に数をます。 人々…

地形から読み解く「耳納山」の名前の由来

参照:『地図から読む歴史』足利健亮,P246‐254 福岡県久留米市の東方に連なる標高367.6m*1の「耳納山みのうさん」。 耳納山の北麓には山から流れ出た土砂による扇状地が東西に連続しています。古い時代ほど水がかりの悪い「野」の景観が広く展開していたこと…

思いつきを「解決策」に変える情報リンク術

参照:『思考の整理学』外山滋比古,ちくま文庫 頭の中に浮かんだアイデアは、すぐに消えてしまいます。それを防ぐために、思いついたことを、あたまの外部に記録し、仕事や生活で使える情報へと組み立てていくためには? 最初のメモはスピードを優先する ア…

アイデアを発酵させるノート術

参照:『思考の整理学』外山滋比古著,ちくま文庫 たくさんあふれる情報のなかにいても、単に知識や情報を蓄積するだけでは、独自の新しいアイデアは生まれない。ほんとうに大事なことは、単なる思いつきや断片的な情報を、時間をかけて「発酵」させ、高度な…

南の島々のお墓が語るもの

参照:『琉球・奄美の葬墓制』関根達人著,新泉社 お墓が語る命の循環と人間の優しさ 現代社会において、葬儀は数日でスピーディに終わるのが一般的です。効率が求められ、死という現実をできるだけ遠ざけて済ませようとする現代の感覚からすると、かつての南…

自然の洞窟を墓地とした 琉球・奄美の原風景「ガマ(岩陰墓)」

参照:『琉球・奄美の葬墓制―考古学から読み解く南島の社会』関根 達人著,新泉社 風葬からはじまった琉球の弔い 琉球・奄美の島々(琉球弧)では、初期のお墓は人工的な建造物ではなく、自然の洞窟や岩陰をそのまま利用した「ガマ(岩陰墓)」でした*1。 な…

論理的な生存戦略

今現在、私たちがおるところは豆助ですよね。その豆助は川崎にあって、川崎は日本にあって、日本は地球にあって、地球は宇宙にある……っちゅうことは、大げさなようで恥ずかしいけれど、われわれは宇宙人だとも言えると思うんです。「てつぼう」っちゅう詩に…

装飾の解体と起動

参照:『左川ちか詩集』川崎賢子編,岩波文庫,p84-85 「背部」 ​よるが色彩を食ひ 花たばはまがひものの飾を失ふ 日は輝く魚の如き葉に落ち このひからびた嘲笑ふべき絶望の外に 育まれる無形の夢と樹を 卑賤な泥土のやうに跪き 切り倒された空間は そのあしも…

生存戦略としての「逃避」

参照:『左川ちか詩集』川崎 賢子編.岩波文庫.P164-166 「風が吹いてゐる」 暗い庭を賑やかに笑ひながら行列が通つたあとのやうにゆられる樹木は誰に話しかけようとしてゐるのだ 見えない足音が遠くの声のやうに白日の夢をかはかし 氷の上で私の影を踏みつけ…

夜の恐怖と精神的恒常性の維持

参照:『左川ちか詩集』川崎賢子編.岩波文庫.P16 「錆びたナイフ」 青白い夕ぐれが窓をよぢのぼる。ランプが女の首のやうに空から吊り下がる。どす黒い空気が部屋を充たす――一枚の毛布を拡げてゐる。書物とインキと錆びたナイフは私から少しづつ生命を奪ひ去…

北九州の聖地と忌地

参照:『北九州市史 民俗』P544-557 聖地と忌地の共通点と違い 「聖地と忌地いみちはとかく混同されがち」であるとされています。両者の決定的な違いは、聖地が神仏に対する「厳粛な神聖な感情」を伴う場所であるのに対し、忌地はそうした神聖さを欠き、「タ…

北九州市の稲荷信仰

参照:『北九州市史 民俗』P567-569 北九州市における稲荷信仰は、大きな稲荷神社から勧請されたものにとどまらず、各家庭の「屋敷神」として家の中に御神体を祀る形から、地域の守り神として親しまれる形まで、生活に密着したものとして守られてきました。…

御嶽の原点と、現在の危機

参照:『沖縄の聖地 御嶽』 原初の御嶽うたき「ピイテーヌワノー」と「何もない」ことの衝撃 この書籍の著者である岡谷公二おかやこうじ氏が「御嶽狂い」となり、半世紀にわたって沖縄の聖地を巡る決定的なきっかけとなったのは、昭和36年の波照間島での鮮烈…

古代「貝の道」と御嶽信仰のルーツ

参照:『沖縄の聖地 御嶽』 「貝の道」が運んだ神の森 沖縄の御嶽のような「社殿を持たず、自然の森を聖地とする」信仰形態は、沖縄独特のものではなくて、本土にも存在している。古代日本において、南海の珊瑚礁海域でしか採れない貴重な貝が北九州や西日本…

御嶽のルーツ お墓から聖地へ

御嶽うたきがいつ、どのようにして成立したのかを遡ると、「御嶽のルーツはもともとお墓(葬地)であった」という説にいきあたります。ただのお墓がなぜ村の守護神を祀る至聖所へと変化していったのでしょうか。 参照:『沖縄の聖地 御嶽』 御嶽から発見され…

社殿をもたない聖地と祈りの原風景 御嶽(うたき)

※1.『沖縄の聖地 御嶽』 社殿のない「何もない」聖地・御嶽 沖縄の村々に必ずと言っていいほど祀られている御嶽うたきは、アコウやクバといった南方系の木々が生い茂る森そのものを聖地としています*1。本土の神社と、いちばん異なる点は「社殿」に類する人…

奄美群島・城久遺跡群 焼骨再葬墓から土葬墓への変遷

※1.参照:『琉球・奄美の葬墓制』 鹿児島県本土から南へ約380キロ、奄美大島から東へ約20キロの洋上に浮かぶ喜界島。サンゴ礁が隆起してできたこの島の中央部高台には、9世紀から15世紀にかけて長期間にわたり営まれた拠点集落跡「城久遺跡群」があります。…

機械と協働し、思い込みを排除する

【参照】 ①数字のカラクリを見抜け! 学校では教わらなかったデータ分析術 ②アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか データとアルゴリズムに踊らされないための「見抜く力」と「良い付き合い方」 毎日、たくさんのデータと、高度なアルゴリズ…

禅と『重力と恩寵』との共通点

認知リソースの最適化とシステムノイズの排除において、東洋の「禅*1」とシモーヌ・ヴェイユの「重力と恩寵」は、とても似ている部分があると感じます。両者は共に、自己中心的な生存本能を「システムエラーの根源」ととらえ、それを意図的に解体することで…

霊仙寺旧墓地石塔群 大分県豊後高田市夷

場所は、大分県の国東半島くにさきはんとう。養老2年(718年)に仁聞菩薩にんもんぼさつによって開かれたと伝わる天台宗の寺院である「霊仙寺れいせんじ」。この霊仙寺、竹田川をはさんで対岸に「霊仙寺旧墓地」があります。旧墓地には約200基の五輪塔など中…

労働・科学・芸術の実装

思考を整理し、新たな発想を得るためのツールとして「道具」が存在します。ペーパーカッターやトコロテンの天突きのように、自動化できる作業をあえて人の手と物理的な道具を用いて行う行為は、単純な反復ではありません。制約のなかで最適解を探る、パズル…

城山薬師堂四面石仏~情報の空白と能動的思考~ 大分県豊後高田市田染真木

大分県豊後高田市の田染たしぶ地区は、中世の荘園景観が色濃く残る場所として知られています。この地の山中に、城山薬師堂四面石仏しろやまやくしどうしめんせきぶつという、特徴的な構造を持つ石造美術がまつられています。 場所:大分県豊後高田市田染真木…

国家神道から「信教の自由」へ 『増補 水巻町誌』

以下は、『増補 水巻町誌』P.551-554,”四 神仏と宗教”の箇所を、わかりやすく要約したものです。 ・・・・・ 1. 明治時代は「国」と「神社」がガッチリ手を組んだ時代 ① 政治と神社の教えをセットに(祭政一致・国家神道) 明治政府が「立派な日本人になるた…

地質からわかることは? 『はじめての地質学』

『はじめての地質学』P.49‐56,地質からわかることは? 1. 地面はどうやって曲がったり割れたりするの? 地層は、もともとはバームクーヘンやミルクレープのように水平に重なってできています。そのままそっと持ち上がっただけなら、きれいな横縞模様のままで…

水巻町誌から読み取れる「炭鉱時代の農民の力」  福岡県遠賀郡水巻町

『増補 水巻町誌』P.270‐291 この箇所の史料から、福岡県遠賀郡水巻町が、石炭により近代的なインフラと、人口増加を手に入れたいっぽうで、その裏側では環境破壊と農業の損失がすすんできたことが示されています。水巻町の住民が、鉱害と農業の損失への対応…

断片を操作する

梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』を読み返すと、情報の扱い方について、これまでの常識をひっくり返すような大切なポイントに気づかされます。なかでも「京大型カード」を使ったシステムの真髄は、知識をたくさん貯め込むことではありません。むしろ、「情報…

仕事の理不尽を世界の構造を知るためのデータに変換する

シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』を読んでいると、世界の構造を「再定義」することができるように感じます。毎日のルーティンワークや、避けることができない他者との摩擦。これらを「重力」として捉え直し、どうやって「恩寵」を受け取れるようにするか…

日常を楽しくするメモ

私にとって、日常の気づきをメモとして記録することは、単にタスクを忘れないための行動ではありません。日々の体験を、一つの知識体系へと組み上げるために、必要な行動となっています。このこと自体が、日常の楽しみをみつける、基本的な行動のひとつとな…