本の紹介
人類の存在は、進化の歴史における必然ではなく、途方もない幸運の結果である。 書籍『ワンダフル・ライフ』スティーヴン・ジェイ・グールド著 (1章 期待の図像を解読する.生命テープのリプレイ―決定的な実験)。 バージェス頁岩の奇怪な生き物たち…オパビ…
西田幾多郎の『善の研究』において中核となる概念に「純粋経験」というものがあります。これは、日常生活や過去の記憶のなかにも確実に存在している、ごく個人的で具体的な感覚のことです。純粋経験とは、主観と客観が分かれる前の、ありのままの経験を指し…
日々の仕事や生活のなかで、絶えず他人の不機嫌や不公平、あるいは理由のない悪意といった「環境ノイズ」に曝(さら)される状況。こうした状況を切り抜けるためには、感情による対処を捨て、世界を「物理法則」と「システム不備」の集積として捉え直すこと…
介護や医療といった対人支援の現場では、長年の「経験」や「勘」が、重宝される傾向があります。もちろん、熟練スタッフの職人的な感覚が、患者や利用者の危機を救う場面はたくさんあると考えます。しかし、属人的な感覚に頼りすぎる運用は、現場のスタッフ…
北九州市若松の洞海湾入り口に存在する「軍艦防波堤」は、第一次および第二次世界大戦で運用された3隻の駆逐艦(柳、涼月、冬月)を基盤としてつくられています。(柳、涼月、冬月)の軍艦はもともと、海中や空からの脅威を排除する軍事システムとして運用さ…
若松軍艦防波堤について調べている際、3つの情報源を参照しました。 ・現地案内板 ・史料『若松軍艦防波堤物語』 ・慰霊碑下の石碑 軍艦防波堤として埋められている戦艦三艦(冬月・涼月(すずつき)・柳)のうち、柳についての艦歴に齟齬があるように推察さ…
2026年2月上旬に、私は職場である介護施設の現場を「抑うつ状態」という理由で離れ休職をしています。私は、作業療法士で、利用者の生活機能の維持・向上を支援する立場にありながら、私自身の心身状態を維持することが困難な状況となりました。原因は、私の…
休日前の夜更よふかしと、その代償としての泥のような睡眠。私は長らく、この非効率なサイクルを繰り返してきました。睡眠を単なる「活動停止」と見なし、時間を削ることに合理的価値を見出していたからです。でも、金谷啓之氏の著書『睡眠の起源』は、その…
「心を整える」「感謝の心」といった精神的なアプローチや、アンガーマネジメントなどの感情制御技術だけでは、現場の課題解決には限界があります。実務者が直面する現実は複合的であり、個人の「心の持ちよう」のみで解決可能な単純な構造ではないためです…
北九州市から筑豊地域にかけてのエリアを歴史的側面からみるとき、一般的には、明治以降の「近代産業の歴史」を思い浮かべるのではないかと感じます。石炭、製鉄、さらにそれらを支えた人々の営み。これらは日本の近代化を牽引した重要な要素です。いっぽう…
以下の書籍を参考にして、「解決」を諦めて「観察」に切り替える、持続可能な働き方を考えます。 『イシューからはじめよ』 『システム思考をはじめてみよう』 『「具体⇔抽象」トレーニング』 『アルゴリズム思考術』 多くの人と関わりながら進める仕事をし…
15年ほど作業療法士として働いてきて、最も難解で、かつ、こちらの心身に深刻なダメージを与える要因は、仕事上の技術的なトラブルではなく、特定の認知特性を持った「他者との関わり」です。 『自律神経の科学』による生理学的知見と、『他人を攻撃せずには…
古典は、時代を超えて、人間という「システム」の仕様と、バグを解き明かした、一種の解説書だと捉えます。中国・明の時代末期、洪自誠によって記された『菜根譚(さいこんたん)』は、処世訓の傑作として知られています。しかし、これを単なる道徳書として…
書籍『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか』の内容を参考に、考えてみました。 臨床現場や日々の業務において、「どれだけ言葉を尽くしても届かない」「良かれと思ってしたことが裏目に出る」という、理不尽な対人摩擦に直面します。ハラスメン…
山里純一著『沖縄のまじない』を、拝読して考えてみました。 『現代のまじない』…構造化による精神の防衛と復元 職場の不条理、過剰な情報、正解のない将来への不安などの、無数の「ノイズ」に囲まれて生きていく必要があります。これらの現代版ノイズは、む…
書籍『神道は なぜ 教えがないのか』を拝読して、考えたことを以下まとめてゆきたいと思います。 読書という行為の再定義と「外在化」の試み 現代社会において、一冊の本をじっくりと読み解く時間を捻出することは容易ではありません。特に、対人関係の多い…
私は作業療法士として15年間、大分県から福岡県内の病院や施設、デイサービスなど、計5つの組織で働いてきました。その経験のなかで体験してきたのは、介護・医療業界における「ハラスメント対応」の極端な格差です。 経験した5つの現場のうち、ハラスメント…
ビュッフェで、いわゆる「元を取った」というのを、単なる食欲の充足ではなく、食材原価・調理コスト・場所代を含めた「システム上の勝利」として定義する場合、どの程度を食べたら「元を取った」といえるのでしょうか? システム思考、およびアルゴリズム思…
飲食店で食器を返却口へ戻す行為は、実質的に「いくら分の労働」を顧客が肩代わりしている計算になるのでしょうか?書籍『アルゴリズム思考術』の視点、書籍『NOISE』の視点から、推定してみたいと思います。 『アルゴリズム思考術』の視点 アルゴリズムの観…
仕事の中で判断を下すとき、無意識のうちに「ノイズ(ばらつき)」が混入することはさけられません。『NOISE : 組織はなぜ判断を誤るのか?』ではそれを防ぐための「判断ハイジーン(衛生)」と呼ばれる手法が提案されています。 日々の業務で取り入れられる…
人間の判断には、本人が自覚できない「ノイズ(バラつき)」が潜んでいます。ダニエル・カーネマンらの著書『NOISE 組織はなぜ判断を誤るのか』は、バイアスとは異なるこの目に見えないエラーの構造を解析しています。司法や医療の現場で生じている不公平の…
書籍『正法眼蔵しょうぼうげんぞう(一)』増谷文雄 訳注.講談社学術文庫P.32‐33。 【原文】 釈迦牟尼仏言、 「舎利子。是諸有情。於般若波羅蜜多、応知仏住供養礼敬。思惟般若波羅蜜多、応如供養礼敬仏薄伽梵。所以者何。般若波羅蜜多、不異仏薄伽梵、仏薄…
『知性について』ショーペンハウエル著,細谷貞雄訳.岩波文庫 哲学とその方法について,P16-17 さまざまな物事についてわれわれ自身がおこなう真剣な冥想や心のこもった省察にくらべると、これらについて他人と交わす対話は、生きている有機体にくらべた機械の…
『知性について』ショーペンハウエル著,細谷貞雄訳.岩波文庫 哲学とその方法について,P15 哲学上の著作者は案内人であり、その読者は旅行者である。ともどもに目的地に着くつもりならば、まず何をおいても、相携えて出発しなければならない。すなわち著者は…
沖縄を旅行していたときに、石敢當(いしがんどう、いしがんとう)と呼ばれる石碑が、町のなかのいたるところに立てられていることに気づきます。 石敢當(いしがんどう)は、人々に災難をもたらす悪霊・悪鬼・厄神などを総称する「ヤナムン」を退けるための…
『知性について』ショーペンハウエル著,細谷貞雄訳.岩波文庫 哲学とその方法について,P12‐15 【内容を意訳】 詩人は、さまざまな人々の性格や状況を想像力豊かに描き出し、読者はその絵図から各々の感性で自由に思考を巡らせます。このため、詩の作品は賢者…
『知性について』ショーペンハウエル著,細谷貞雄訳.岩波文庫 哲学とその方法について,P11‐12 哲学するために最初に求められる二つの要件は、第一に、心にいかなる問いをも率直に問い出す勇気をもつということである。そして第二は、自明の理と思われるすべて…
『知性について』ショーペンハウエル著,細谷貞雄訳.岩波文庫 哲学とその方法について,P9‐11 上の箇所について、解釈文を以下に示します。 普段の私たちと哲学者の物の見方の違い 私たちはふだん、自分が「どんな人か」ということに意識がむきがちです。例え…
『知性について』ショーペンハウエル著,細谷貞雄訳.岩波文庫 P.9哲学とその方法について われわれのあらゆる認識と科学とがその上に乗って支えられている基礎は、説明不可能なものである。だから、いかなる説明も、多かれ少なかれいくつかの 中間項目を通っ…
書籍『正法眼蔵しょうぼうげんぞう(一)』増谷文雄 訳注.講談社学術文庫P.27‐29。 【原文】 天帝釈、問具寿善現言「大徳、若菩薩摩訶薩、欲学、甚深般若波羅蜜多、当如何学」善現答言、「憍尸迦、若菩薩摩訶薩、欲学三甚深般若波羅蜜多、当如虚空学」しから…