読書メモ.『沖縄のいきもの』P.35‐38
沖縄の海は、現在、サンゴ礁の発達したエメラルドブルーの海がイメージとしてあります。しかし、沖縄トラフがある以前は、海底に泥があつく堆積している濁った海がひろがっていたといいます。
大むかし、海底に泥がどうしてたまっていたのかというと、中国にある大きな川である揚子江*1や黄河などから大量の泥がながれこんできたためと考えられます。
この泥は粘土層として現在でも琉球列島の各所で確認することができます。この粘土層は「島尻層(しまじりそう)」と呼ばれています。
約200万年前以降に、地殻変動の影響で、琉球列島の北西に長さ約1000km、最大深度2000mになる海底の凹地(くぼち)ができました。これが沖縄トラフと呼ばれています。この凹地は、中国がある大陸側の地殻がのびて沈みこんでできたものだと考えられています。この沖縄トラフ…つまり凹地…に中国大陸からながれこんでくる泥がたまることとなりました。
沖縄トラフ↓
画像リンク:沖縄トラフ - Wikipedia
参照:琉球大学HP.沖縄トラフの伸張・沈降の時期は200万年前以降
沖縄トラフがつくられた後の時代に、トラフよりも太平洋側の海…西側の海…ではサンゴ礁が発達しました。サンゴ礁はその後、琉球石灰岩となりました。
上の図をみると石灰岩の上に「マージ」といわれる赤土が堆積しています。これは琉球地域では「島尻マージ」と特によばれています。
この赤土は中国大陸から風で飛ばされてきた、7万~1万年前の風成塵(ふうせいじん)が起源と考えられています。7万~1万年前の氷河期の時代、ユーラシア大陸の大陸棚が海から顔をだしていたため、この広い大陸棚の大量の塵(ちり)が琉球列島地域にふりつもったと考えられています。
参照:PDF 南西諸島に分布する国頭マージ,島尻マージおよびジャーガルの生成・分類について
参照:『沖縄のいきもの』P.38
「全国湧き水マップ(沖縄県) | 旅旅」こちらの地図を参照すると、沖縄島の南部地域には、たくさんの湧き水がでていることが確認できます。沖縄島の南部地域にはおおきな川はありませんが、石灰岩で構成されている土地が、比較的おおく占めています。
参照:地質図navi
沖縄島の南部地域は、泥岩の上にサンゴ礁由来の石灰岩がのっている地質をしているようです。そのため高い山や火山などがありません。さらに大きな川もみられません。
空隙(くうげき)の多い琉球石灰岩がスポンジのように雨水をすいこみ、それより下層の緻密で水を通しにくい泥岩層には浸透せず地下水脈となり、崖などがあると、石灰岩と泥岩の境界から地下水が湧き出します。
沖縄の「カー」とか「ガー」とよばれる、わき水や井戸(いど)などは、このようなしくみで水が湧き出している場所だと考えられます。
Google mapで「沖縄 ガー」と検索してみると、おもしろいぐらい沖縄南部に結果が集中しています。
*1:長江の最下流部が揚子江と呼ばれている。