福岡県直方市(のおがたし)にある筑豊本線 直方駅。この駅は、2011年(平成23年)に改築され新しくなりました。古い直方駅では、明治41年に建設された木造の駅舎が使われていたそうです。
場所:福岡県直方市山部 直方駅
このように直方駅が改築される前、どうも、奇妙な光景が駅内では見られたようです。駅のホームより低い位置に線路が配置され、列車に乗客が乗りやすくするのが通常の駅の構造です。
以前の直方駅の1番ホームでは、線路より低い位置にホームが位置し、乗客は大きな段差をのぼるように列車へ乗り込まなければならなかったそうです。
このように、ホームが線路よりも低い位置となったもともとの原因は、直方駅全体が地番沈下したためです。その地盤沈下の原因は、その昔、石炭を採取するための坑道が、直方駅の下を通っているためと考えられています。
参照:明治・大正・昭和 九州の鉄道おもしろ史(P377-378)
もともとは、駅全体が地盤沈下していたそうですが、1929年(昭和4年)に、駅全体のかさ上げ工事がされました。しかし、1番ホームだけが駅舎と一体となっていました。
1番ホームをかさ上げするためには、駅舎を取り壊す必要がありました。駅舎をとりこわして、新しい駅舎を建築するほどの予算がなかったために、1番ホームと駅舎だけ、かさ上げ工事の対象外となりました。
そのために、 昭和4年から現在の新しい直方駅になるまでの期間は、1番ホームだけが線路よりも低い位置のままとなっていたそうです。
現在(2019年5月)、1番ホームあたりを観察してみても、段差らしきものは見当たりません。実際に電車にのり、駅のなかもくまなく見学してみましたが、不自然に段差がある場所は見当たりませんでした。
現在は駅舎が新しくされたので、それと同時に、古い駅舎のあった土地全体も、かさ上げ工事をしたと考えられます。↓直方駅前のターミナル部分も、しっかりと地盤が強化されたものと考えられます。
ネット上には、直方駅下に坑道が通っていた…などの情報は確認できませんでした。直方の歴史に詳しいかたの話によると、たしか、直方市は炭坑で栄えた街ではあるものの、炭坑関連の産業で栄えたものであって、直方市自体には炭坑はなかったと聞いたことがあります。
そうすると、直方駅の下に坑道が通っていて、それで地盤沈下した…という話とは矛盾します。
直方市史などを詳細に読んでみると、もしかしたら、この矛盾を解消する情報を得られるかもしれません。
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