福岡県北九州市の八幡東区から戸畑区にかけて、八幡製鉄所がつくった製鉄所専用の鉄道があります。国土地理院地図では「日本製鉄専用線」と記されていますが、通称「くろがね線」と呼ばれています。
「くろがね線」の一区画に宮田山トンネルがつくられています。この宮田山トンネルの「トンネルポータル」といういわれる部分が、凝ったデザインであるという情報得て、行って見てみることにしました。
くろがね線は、1927年(昭和2年)起工され、1930年(昭和5年)に完成しました。開業当初は銑鉄(せんてつ*1)や鉱滓(こうさい*2)、炭滓(たんさい*3)を運んでいました。しかし炭滓を輸送することがほとんどなくなり、1972年からは「くろがね線」と呼ばれるようになりました。くろがね線の工事は八幡製鉄所の社員が行ないました。
宮田山トンネル
枝光(えだみつ)駅から東へ約280mの地点に宮田山トンネルの八幡側出入口があります。
場所:福岡県北九州市八幡東区枝光3丁目
座標値:33.8789145,130.81627
宮田山トンネルの戸畑側出入口は西大谷という地区にあります。
場所:福岡県北九州市戸畑区西大谷1丁目
座標値:33.8820052,130.8282664
国土地理院地図で計測してみると、宮田山トンネルは全長約1170mあります。トンネルがある地区は、トンネルがつくられた当時は草木が生い茂る山だったようですが、現在では住宅街が広がる丘という感じになっています。
地点(33.8798945,130.8203145)あたりのピークで標高約98m程度です。
宮田山トンネルポータルのデザイン
宮田山トンネルの設計は、河内貯水池をはじめとする、貯水池関連施設の設計を行なった沼田尚徳(ひさのり)氏参照です。そのため、宮田山トンネルのポータルも凝ったデザインとなっています。
八幡側トンネルポータル
八幡側出入口はギリシャやローマ(イタリア)の古典を模したルネッサンス風の建物なのだそうです*4。
八幡側のトンネルポータルは、トンネルのアーチ部分にも、アーチの上部分にも、大きな切石が重ねられつくられているようです。この石は花崗岩(かこうがん)製のもので、家の屋根のような三角形がデザインされています参照。
戸畑側トンネルポータル
戸畑側のトンネルポータルは花こう岩の石積みです。ローマの古い城壁を模したデザインといいます。上方に4本の高い突起物、さらにその両脇にも低い突起物があり独特です参照。