日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

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2026-01-01から1年間の記事一覧

天保山はなぜこの場所に築かれ、どう変容したのか?

天保山てんぽうざんを訪れた。 場所:大阪府大阪市港区築港 座標値:34.657997,135.432667 天保山という名は、江戸後期の元号である「天保」年間(1831〜1832年)に築かれたことに由来する。当時の大坂町奉行所が主導した安治川河口の大規模な浚渫(川浚え)…

「四天王寺 庚申堂」周辺を地形図で確認する 大阪府大阪市天王寺区堀越町

四天王寺と、四天王寺 庚申堂こうしんどうとの位置関係。四天王寺から南へまっすぐと参道が庚申堂へと伸びている。四天王寺 庚申堂は、四天王寺の「境外堂宇けいがいどうう」として、主となる境内から少し離れた場所に配置され、古くから四天王寺と一体のも…

自己犠牲はプロの美徳ではない

リハビリテーション専門職におけるバーンアウト(燃え尽き症候群)の割合は、国内外の調査において40〜50%前後に達すると報告されている。マスラック・バーンアウト・インベントリー(MBI)を用いた研究では、心身をすり減らす「情緒的消耗感」に加え、過剰…

なぜ呼野のため池に、人柱となった少女が祀られているのか?

稗の粉ひえのご池と「お糸の墓」の歴史的背景 福岡県北九州市小倉南区呼野に位置する「稗の粉池*1(別名:お糸池)」の堤防の上には、人柱となった少女を祀る「お糸の墓」と、「お糸地蔵尊由来」と刻まれた記念碑が佇んでいる。この池は、江戸時代に地域の深…

なぜ人間の呼吸と波のリズムは同調するのか?

新装版 世界の調律 (平凡社ライブラリー0926) 作者:R.マリー・シェーファー 平凡社 Amazon 参照:P454‐459 外部の周期的な刺激に生体リズムが引き込まれる「引き込み現象エントレインメント」による。 脳が、波の音のような、一定のリズムを聴覚刺激として受…

なぜルーシーのピアノは、これほど深く心を打つのか?

Lucy Illingworth(ルーシー・アイリングワース)は、イギリスのピアニストである。生後間もなく視力を失い、神経発達の特性から日常会話による意思疎通は限られるが、聴覚と触覚を通じて培った卓越したピアノ演奏で世界的な注目を集めた。 彼女の存在が広く…

なぜシェーンベルクは理解されにくい音楽を作曲したのか?

現代音楽史-闘争しつづける芸術のゆくえ (中公新書, 2630) 作者:沼野 雄司 中央公論新社 Amazon 「調性」という見えない重力 日常で耳にするポップスや童謡、クラシック音楽のほとんどには「調キーが存在する。「ハ長調Cメジャー」や「イ短調Aマイナー」と呼…

なぜ介護現場ではデジタル化が進まないのか?

介護現場ではたらく職員にとって、日々の業務のなかで、デジタル化(効率化・合理化)が進まない状況に、やきもきしている人もいるのではないかと推察される。 介護現場においてデジタル化が進まない本質は、「ITスキルの不足」や「職員の年齢層」といった表…

ヒヤリハット活用による職場改善の因果ループ図

ヒヤリハットを提出することが、なぜ職場改善につながるのか?因果ループ図に表すと以下のようになる。 www.ku-hibino.com 簡潔に言葉にすると以下のようになる。 ヒヤリハットの提出は、個人のミス(A)を責めるためではなく、ルールの不備(C)や業務過密…

乙子神社にまつられる二期の庚申塔 福岡県宮若市宮田脇野

場所:福岡県宮若市宮田脇野 座標値:33.704485,130.659942 乙子おとご神社 祭神:熊野櫲樟日神くまのくすびのかみ、外四柱 神名にある「乙子おとご」は、末子(一番最後に生まれた子)を意味する古語である*1。日本神話の誓約うけいにおいて最後に生まれた…

職場の人間関係が悪化するのは、本当に「あの人の性格」のせいなのか?

アドラー心理学では、「ヒトの悩みの原因の大半、あるいは「すべて」は人間関係にある」と言われている。 職場の人間関係が悪化したり、重大な介護事故が起きたりした際、多くの現場では「あの人の性格に問題がある」「最近みんなの気が緩んでいる」といった…

悪の連鎖をとめるには、何を消したらいいのか?

重力と恩寵 (岩波文庫) 作者:シモーヌ ヴェイユ 岩波書店 Amazon シモーヌ・ヴェイユの思想は、日本の「禅」と根底につながる部分があると感じる*1。 ヴェイユが戦火という絶望的な状況下で自己の純粋さを厳しく問い続けた背景には、「重力(自然な心理的・…

騒音を消せば、豊かな静けさは戻るのか?

『世界の調律』R.マリー・シェーファー,平凡社 サウンドスケープ(音風景)とは何か 「私は、本書を通してずっと、世界をマクロコスモス的な音楽作品として扱っていくつもりだ。」 —— R. マリー・シェーファー*1 現代社会において、私たちは音をどのように捉…

【平尾台・牡鹿鍾乳洞】地下空洞の水滴音と空間反響|45分フィールドレコーディング音源(作業用・睡眠用)

平尾台のカルスト台地地下に位置する「牡鹿鍾乳洞」にて収録した環境音(水滴音)を、40分のサウンドスケープ音源として動画にしました。 現地の地質構造と録音仕様を記録としてまとめます。作業や読書、睡眠時の環境音として活用してください。 収録地の平…

弥栄神社の境内に祀られる四基の庚申塔群 福岡県飯塚市横田

⛩️ 福岡県飯塚市横田『弥栄神社』と江戸時代の歴史を物語る石塔群 閑静な住宅街の中に佇む旧村社・弥栄神社の参拝記録と、境内に残る貴重な近世石塔群の解読まとめです。

小倉城下の刑路の終着点、日明浜には何が残されているのか? 福岡県北九州市小倉北区平松町

日明地区の地理的背景と小倉藩の刑路 福岡県北九州市小倉北区に位置する日明ひあがり地区は、江戸時代には干潮時に広大な干潟が現れることから「干上村ひあがりむら」と呼ばれていた。現在の周辺はJR鹿児島本線が通り、北側には埋立地の工業地帯が広がってい…

姶良カルデラと桜島は、いかにして鹿児島の大地と人の暮らしを形作ったのか?

桜島から日常的に立ち上る白い噴煙は、鹿児島市民にとって天気予報と同列に語られる「日常の風景」である。だが、この火山の息吹が語りかける大地の歴史は、想像をはるかに超える壮大な時の流れと、かつてこの地を襲った破滅的な地殻変動の記憶を秘めている…

なぜ九酔渓の岩盤は垂直に抜け落ちたのか?

これは、大分県玖珠くす郡九重ここのえ町大字田野ふきんで撮影した、九酔渓きゅうすいけいの崩壊跡の写真である。桂茶屋の駐車場から撮影したものである。 場所:大分県玖珠郡九重町大字田野 座標値:33.175599,131.215328 この崩壊跡は、第四紀更新世中期(…

【出版告知】『大地の文字を歩いて解く』Kindle版を公開しました

当ブログで記録・蓄積してきた筑前北部(遠賀郡・宮若市)の現地踏査データを再構成し、電子書籍『大地の文字を歩いて解く』としてAmazon Kindleで公開しました。 前作までの北九州市・大分県に続き、本作では遠賀川流域から響灘・玄界灘へと広がる地域の「…

なぜフリマサイトからの「離脱」が最適解なのか?

近年、大手外食チェーンやコンビニ等で実施される人気キャラクターの限定コラボキャンペーンにおいて、関係者による景品や未発売商品の不正流出、およびフリマアプリでの大量転売が相次ぎ、深刻な社会的問題となっている。「くら寿司」におけるちいかわ景品…

宗像の巨大石室と金銅装馬具は、何を語るのか?

1. 平等寺瀬戸遺跡の立地環境と基本構造 福岡県宗像むなかた市東部、城山の西側山麓に位置する平等寺びょうどうじ瀬戸遺跡は、標高約40mの丘陵先端部に築かれた古墳時代後期の重要拠点である。 場所:福岡県宗像市平等寺 座標値:33.820052,130.575643 平等…

ブログ記録の構造化とKindle書籍化について

当ブログで断片的に記録してきた現場の踏査データや写真を再構成し、体系的な電子書籍としてAmazon Kindleで2冊公開しました。 ブログでは日々の記録を時系列で提示していますが、書籍化にあたっては学術的なエビデンスや現地座標を軸に情報を構造化していま…

なぜ長浜の地蔵祭は『子どもたちだけ』で運営されるのか?

『北九州市史(民俗)』P575‐576,長浜地蔵の線香山 場所: 福岡県北九州市小倉北区末広一丁目 座標値:33.886799,130.889171 長浜の六地蔵の起源と歴史的変遷 福岡県北九州市小倉北区の長浜地区に伝わる「長浜の六地蔵」の地蔵祭は、毎年八月二十四日(旧暦…

「やぶれ地蔵」は、なぜ遠賀川沿いの崖に祀られたのか?

『水巻昔ばなし』P69 朳(えぶり)地区と遠賀川の地理的背景 福岡県遠賀郡水巻町には、水の記憶を強く留める「朳(えぶり)」という集落が存在する。 場所:福岡県遠賀郡水巻町 朳 「えぶり」の漢字表記は、木偏に八と書く「朳」という独特な文字を用いる。…

悪質レビュアーの脳内では、何が起きているのか?

『NOISE(上)(下)』ダニエル・カーネマン,早川書房 『サイコパスから見た世界』デイヴィッド・ギレスピー,東洋経済新報社 レビュープラットフォームにおける極端な評価と判断ノイズの構造 レビュープラットフォームは、本来「事実とプロセスの共有」を通…

なぜ口コミに「もう行かない」と書き残すのか?

食べログやGoogleマップといったレビュープラットフォームにおいて、「〇〇が残念でした。もう行くことはないと思います。」という定型的な否定文を目にする機会は少なくない。 本来、プラットフォームにおけるレビューは、利用者が体験した客観的な事実や有…

どうすれば、近所の書店を応援することができるのか?

『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』飯田 一史,平凡社 書店の経営者視点における構造的問題点と改善策 1. 小売業として成立しない4つの致命的問題 日本の新刊書店経営は、一般的な小売業の常識が通用しない極めて過酷な取引条件の上に立たされている。 …

本屋をつぶした真の元凶 ~「読者の本離れ」という嘘と、業界の構造的怠慢~

『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』飯田一史,平凡社新書 世間で定説となっている「若者の本離れ」や「ネット・スマートフォンの普及」は、日本の町の本屋がつぶれてきた直接の元凶ではない。毎日新聞社の「読書世論調査」によれば、日本人の書籍の読書…

「牛鳴峠」の二つの伝承 福岡県うきは市吉井町福益

牛が悲鳴をあげた云われの残る「牛鳴峠」 福岡県うきは市吉井町福益 - 日々の”楽しい”をみつけるブログ この記事のリライトです。 1. 険阻なる「牛鳴峠」の地理と歩み 福岡県うきは市吉井町福益と浮羽町妹川を結ぶ「福岡県道718号吉井妹川線」沿いには、かつ…

住宅街の高台に佇む殉難碑は何を伝えているのか? 福岡県中間市弥生

福岡県中間市弥生の丘陵地に、明治期の炭坑事故を記憶する一基の殉難碑が佇んでいる。 場所:福岡県中間市弥生 座標値:33.808445,130.719830 現地は福岡県道61号線の井手原橋交差点の至近に位置する。交差点から北東方向を仰ぎ見ると、丘の上へと延びる石段…