大分県中津市の山深い場所に、おばあさんのイボをとってくれたという伝承が残るお地蔵様が祀られています。そのお地蔵様は「尾まがり いぼとり地蔵尊」と呼ばれています。
場所:大分県中津市山国町草本
座標値:33.439515,130.988329
福岡県の英彦山(ひこさん)あたりから、大分県の中津方面へと抜ける途中で、このいぼとり地蔵に、たまたま出会うことができました。全国に目をひろげると、「いぼとり」の神様・仏様はたくさん祀られているようで、こちらのサイト(いぼとり神様・仏様 全国リスト)では、2019年6月1日時点で、1302か所紹介されています。
中津市山国町のいぼとり地蔵は、福岡県と大分県との県境に近い場所にあります。霊山「英彦山」から、中津市の山国という町へと下りてゆく国道500号線沿いに祀られています。↓赤丸で示した場所が、「尾まがり いぼとり地蔵尊」が祀られている場所です。
↓こちらが国道500号線で、英彦山方向を向いて撮った写真です。写真右側のブロック塀になっている箇所が、いぼとり地蔵尊が祀られている高台です。自然ゆたかな場所で、わたしの好きな場所でもあるので、福岡から大分へいく際、この道を通ることがたびたびあります。
「尾まがり いぼとり地蔵尊」が祀られる高台へは、20段ほどの階段をのぼります。周囲は道幅が広くなっており、十分、駐車スペースがあります。
車通りは少なく、道幅は広いので、ときどき通る車のなかには、スピードをだしているものもあります。地蔵尊を訪れたこの日は、4歳の子どもも一緒だったので、子どもの手を引き道路を横断する必要がありました。
↓小さなお堂に祀られているのが「いぼとり地蔵尊」で、その隣に看板がたっています。看板の足元に「手水鉢(ちょうずばち)」があります。この手水鉢にも、なにか云われがあるのでしょうか?
ふきんに立っている「疣取地蔵の物語」という案内板に書かれている内容を、ざっくりと以下にご紹介します。
むかし、この地に信心深いひとり暮らしの老女が住んでいた。老女の手にはたくさんのイボができていた。ある日の夕暮れ、お坊さまが老女のところへ泊めてほしい、と訪ねてこられた。老女はこころよく、お坊さまを家に泊めた。
翌朝、お坊さまの姿はなく、水戸口(みずとぐち;家に水を引き入れる場所)に手水鉢が置いてあった。手水鉢とともに手紙が添えられてあった。その手紙には「心やさしい お婆に疣取りの水を進ぜよう。この鉢に水を張りて用いよ」と書かれていた。それから、老女の手からはイボがなくなった。
この出来事は人から人へつたわり、「いぼとり地蔵尊」として菩薩像を、この地に安置した。
その「いぼとり地蔵尊」がこちらです↓ お地蔵さまが祀られるお堂のとなりにある手水鉢が、「疣取の水が張られた」という手水鉢と考えられます。
それにしても、このいぼとり地蔵には「尾まがり」という名前がつけられていますが、尾まがりとは何なのでしょう。おそらく「尾まがり」は地名と考えられます。国土地理院地図を確認すると、地蔵尊が祀られている付近が「大曲」という地名のようです。
そしておもしろいことに、国道500号線に沿ってながれる山国川は、この場所で、大曲の地名どおり、大きく湾曲しています。