場所:福岡県福岡市東区塩浜3丁目
座標値:33.686945,130.422447
『新編 九州の戦争遺跡』P.18‐19に九州飛行場の”軍用水上機試験飛行場跡”のことが掲載されています。1940年(昭和15年)に建設された飛行場で、この飛行場から海軍の零式三座(れいしきさんざ)水上偵察機が飛び立っていたといいます。上の航空写真に示した赤丸の部分には、海中へとのびるスロープが残っていることがわかります。
この海中へとのびるコンクリート製のスロープは、通称「スベリ」と呼ばれました。このスベリから偵察機が博多湾内へと入り、試験飛行を実施していました。
参照:『新編 九州の戦争遺跡』P.18
”スベリ”のすぐ北側には、塩浜ポンプ場があります。これはむかし偵察機の格納庫であった場所にあたります。
1950年(昭和25年)の地形図を、今昔マップで参照してみます。海岸の広場に、ぽつんと大きな建物が示されています▼ これが偵察機の格納庫跡だと考えられます。
”跡”と書いたのは、この格納庫は戦後の1947年(昭和22年)には、米軍専用の通称「博多・ベイサイド・キャバレー」となったそうです。地図の北側に線路がはしっています。この線が、現在JR九州の地方交通線である香椎線です。1947年ごろでは、キャバレーの近くには、そこの従業員や客となる米兵の乗降のための臨時停車場がつくられました。
現在、塩浜ポンプ場やFITスタジアムが含まれる「福岡県福岡市東区塩浜3丁目」は、周囲を遊歩道が囲っているようです。そのために、”スベリ”の箇所までは徒歩で近づくことができます。地図を拡大してみると、スベリを見おろすかたちで、遊歩道には展望台がつくられています。そして展望台の東側にはスベリまで降りられるような階段も設置されているようです。