日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

人類は”たまたま”生き残っただけ 『ワンダフル・ライフ』

今回のリプレイではピカイアは生き残らないとしたら、われわれは将来の歴史から抹消されることになる。サメからはじまってツグミやオランウータンまですべての出番がないのだ。しかも、現時点でバージェスについて得られている証拠を提供されて、ピカイアが生き延びることに好意的なオッズをつける賭屋がいるとは思えない。ピカイアが生き延びる可能性はそれほど小さかったのだ。

 

それではとばかりに読者は、人類はなぜ存在しているのかという年来の疑問を発したいかもしれない。ともかくも科学に扱える点からのみその疑問に答えるとしたら、答の核心は、ピカイアがバージェスの非運多数死(ひうんたすうし)を生き延びたからというところに落ち着くにちがいない。この答は、自然界の法則は一つも拠りどころとしていない。そこには、予測できる進化の経緯に関する言及もなければ、解剖学や生態学の一般則に基づいた確率の計算もない。ピカイアが生き延びたことは、”ほんとうの歴史”の偶発事件だった。私は、これ以上に”高度”な答が与えられるとは思わないし、もっと魅惑的な解決が得られるとも思えない。われわれは歴史の産物であり、実現しえた世界としてはもっとも多様で興味をわかせる世界のなかで独自の道を切り開かなければならない。それは忍従(にんじゅう)の道ではなく、自分たち自身が選ぶやりかたで成功したり失敗したりする自由が最大限に保証された道である。(『ワンダフル・ライフ』Stephen Jay Gould著,早川書房,P.570‐571)

脊索動物の祖先であるピカイアは、カンブリア紀の生態系において生存に有利なスペックを持っていませんでした。つまり、ピカイアが生き残る確率は統計的に極めて低かった。しかし、ピカイアは、偶然に、生き残った。

 

さらにいえば、「人類はなぜ存在するのか」という問いに対し、「あの時、ピカイアがたまたま絶滅を免れた」という一回限りの物理的な偶然のみが、その後のすべての脊椎動物(サメから人類まで)の派生を決定づけたのと同様に、人類もまた、偶然に生き残っただけ…選ばれて生き残ったわけではない…ということを意味しています。