2022年7月23日(土)に、大分県豊後大野市にある稲積水中鍾乳洞(いなづみすいちゅうしょうにゅうどう)を訪問しました。大分県にすんでいたときにも、行けておらず、ずっと訪問してみたいと思っていた場所です。
場所:大分県豊後大野市三重町中津留300
わたしは、九州・山口県地域のおおきな鍾乳洞である、「秋吉洞(山口県)」「千仏鍾乳洞(北九州市)」へ行ったことがあります。これらと比較すると、稲積水中鍾乳洞は規模は小さいように感じましたが、ふたつにわかれる細長い洞窟が、見ごたえのある鍾乳洞でした。
上図の、黄色で示された新生洞から歩き、その後、水中洞を歩きました。新生洞の一番奥まで歩いたら、一度分岐点までもどり、そして水中洞へと行くかたちとなります。
稲積山(いなづみやま)のふもとに稲積鍾乳洞(いなづみしょうにゅうどう)があります。鍾乳洞のすぐ東側には、美しい中津無礼川(なかつむれがわ)が流れています。
稲積鍾乳洞内には、現在も多くの地下水が溜まっていて、この地下水を利用して幻想的な雰囲気をひきだすライトアップも行なわれています。近年ではスキューバダイビングや、サウナ用水風呂としても利用されるようになりました。
稲積鍾乳洞は、公式ホームページでは「稲積水中鍾乳洞」と紹介されており、「水中」という文字がつけられています。これはどういうことなのでしょう?それはこの鍾乳洞の成り立ちからつけられたもののようです。
約8万5千年前、阿蘇山(あそさん)の大噴火により、豊後大野のほぼすべての地が火砕流によりおおいつくされました。そのとき、稲積鍾乳洞の前を流れる中津無礼川にも火砕流がながれてきました。火砕流は、それ自身の熱により軽石、火山灰などを溶かしてしまいます。時間が経つと、溶けた石や火山灰は冷えて固まりました。その固まったものが「溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)」です。
溶結凝灰岩が冷えて固まるとき、縦方向へ綺麗なひび割れ…柱状節理(ちゅうじょうせつり)…ができます。中津無礼川では、一部の川岸において、柱状節理をみることができます。
場所:大分県豊後大野市清川町伏野(ふせの)
座標値:32.9177976,131.5365841
中津無礼川を覆った溶結凝灰岩により、稲積鍾乳洞内部に水が溜まるようになりました。溶結凝灰岩により水位が高くなった中津無礼川から、稲積鍾乳洞へ川の水が流れこんだと考えられます。またもともと鍾乳洞にしみこんでくる地下水も加担して、鍾乳洞は水没してしまいました。
そして、稲積鍾乳洞は、稲積”水中”鍾乳洞となりました。
長い時間が経つと、中津無礼川の水位をあげていた溶結凝灰岩が浸食され、高さが1/4程度にまでなりました。
岩が浸食されたことにより、中津無礼川の水位が下がり、稲積鍾乳洞にながれこんでいた水がなくなりました。そして鍾乳洞上半分が水から顔をだしました。
水から顔を出した部分を整備してつくられたのが、現在の稲積鍾乳洞なのだそうです参照。
長い間、水中に没していた鍾乳洞は、水により浸食され独特のかたちの鍾乳石をつくりあげました。それら鍾乳石の造形美を以下、写真でご紹介してゆきます。
稲積鍾乳洞はいちばん奥まで、地面は平らに均されており、車いすでも進むことができるようになっていました。
わたしたち家族は、閉館時間である17時ぎりぎりの16時ごろに訪れたため、ひと気は少なかったです。ゆっくりと洞内を見学させていただくことができました。
大分県のような、多くの自然が残されている場所では、ひとの手では作り出すことができない自然の造形美にたくさん触れることができます。