『北九州歴史散歩 豊前編』P.159に、コラムとして「呼野駅の加速線跡」という鉄道史跡が掲載され、その関連史跡として「赤煉瓦造の水路跨線橋」が紹介されています。「赤煉瓦造の水路跨線橋」とは、谷になっている箇所に設置されている線路の上に、道路が橋のように架かっている建造物です。この建造物が珍しい点は、道路の横に山水を流すための水路があることです。
この跨線橋がかかっているのは、福岡県北九州市小倉南区の城野駅から大分県日田市の夜明駅までのびている「日田彦山線(ひたひこさんせん)」です。
呼野駅から金辺(きべ)トンネルの間には、複線の断面を持つ赤煉瓦造の丸山トンネル(全長110m)や、鉄道建設により寸断される水路と道路を維持するために建設された赤煉瓦造の水路跨線橋があります
『北九州歴史散歩 豊前編』P.159には、水路跨線橋の写真も掲載されています。この、水路跨線橋をさがしに、以前、現地とおもわれる場所を探してみたのですが、結局みつけることができませんでした。
2021年8月24日に、再度、現地ふきんを訪れ、探してみることにしました。
上記の引用箇所から推察される水路跨線橋の場所は以下のとおりです。
・呼野駅から金辺(きべ)トンネルの間
・日田彦山線と、道路が交差している
・道路が水路と並行している
この3条件を、国土地理院地図上でさがしてみます。
上図のように2か所の推定地を、地図上でみつけることができました。推定地①は、以前におとずれていました。しかしこの場所ではないことがわかっていました。今回は推定地②にいってみました。
推定地②は、まさに書籍に紹介されている写真と同じでした。↓下の写真は西方面をみて撮ったものです。左に道路、右に水路がはしっています。
場所:福岡県北九州市小倉南区大字呼野
座標値:33.742248,130.855196
跨線橋の水路側の壁はレンガ造りです。いっぽう道路側の壁は、下半分がレンガ、上半分はコンクリート製です。跨線橋がおわる箇所から、水路は急斜面となっています。
道路側の壁の下半分は段差のあるレンガとなっているので、レンガを踏み台にして、跨線橋から下をのぞいてみます。跨線橋の南側40mほど先には、おそらく「金辺トンネル」だとおもわれるトンネルが、ぽっかりと口をあけています。
跨線橋の西側(上流側)は、以下の写真のようになっています。
跨線橋は、金辺トンネルの工事が開始された明治30年(1897年)ごろに、同時につくられたものと考えられます。跨線橋前後の水路は、コンクリート製で、とても綺麗なつくりとなっており、明治期からのちの時代に改修されたものと予想されます。
みつけたかったレンガ造りの跨線橋を、やっとみつけることができました。