2024年5月28日の記事『平尾台周辺の地質 福岡県北九州市小倉南区』のなかで、東谷粘板岩層についてご紹介しました。
平尾)台の北西方の東谷地域から小森の西側一帯の山地には,砂岩・粘板岩からなる累層が露出している。当地域ではこれを東谷砂岩粘板岩層とよぶ。この累層は砂岩および粘板岩の互層をなし,砂岩は一般に灰黒色細粒堅緻なものが多く,わずかに淡黄褐色を呈し中粒ないし粗粒砂岩がある。
東谷砂岩粘板岩層には、別名「スレート」と呼ばれる粘板岩が含まれています。粘板岩は高温・高圧を受け、変成作用によってできた岩石で、薄い板状に割れやすい性質をもっています。
地質図naviによると、この東谷砂岩粘板岩層は、約2億5000万年前の泥岩(でいがん)がもとになっています。泥岩には石英(せきえい)や斜長石(しゃちょうせき)が含まれます。
石英は、二酸化ケイ素(SiO2)が結晶化してできた鉱物で、無色透明なものは水晶と呼ばれます。斜長石はカルシウムとナトリウムが主成分です。原子同士の結合力の弱い部分に 沿って割れる性質を「へき開」といいますが、斜長石は2つの「へき開」をもっていて、約86°で交わります。
この東谷砂岩粘板岩層が観察できるのではないかと思い、呼野大山祇神社(よぶのおおやまづみじんじゃ)へ足をはこんでみました。この神社は、東谷砂岩粘板岩層の一帯に含まれるためです。
場所:福岡県北九州市小倉南区大字呼野
呼野大山祇神社の鳥居となりに、円龍寺の駐車場があったため、ここに車を停めさせていただき、参拝しました。参道にはいると、すぐ左手に石英が含まれる、おそらく粘板岩が石垣としてつまれていました。
そして、日田彦山線の線路をわたり、数十m進むと、円龍寺の敷地と道路をへだてる壁として、片理をもつ岩壁が立っています▼
▲板状に岩が割れています。おそらく粘板岩とよばれるものだと考えられます。
参照:平塚市博物館,堆積岩類1
呼野大山祇神社のすぐ北側に、▼航空写真のような採石場がありますが、おそらくこの粘板岩を採る場所だと考えられます。粘板岩のような石材は屋根材や、内外壁、門柱など建材として利用されているようです。
大山祇神社の境内には、たくさんの石垣が積まれています▼
これらの岩は、おそらく周辺で採取された泥岩や粘板岩がそのまま使用されていると考えられます。
境内に育つ、立派なイチョウの樹▼
参道の途中を横切る日田彦山線▼
▼神社の東側にそびえる竜ヶ鼻(たつがはな)。この美しい山は平尾台(ひらおだいと)同じ、石灰岩で構成されていると考えられます。