庚申塔をさがしてたら、たまたま見つけた古墳。
大分県杵築市山香町にある又井横穴墓(またいよこあなぼ)。
場所:大分県杵築市山香町大字倉成
現在地から【又井横穴墓】:Google マップ
国道10号線から”又井”地区方向に入っていくと
見つけることができます。
↓地形図でみると、又井横穴墓のすぐ南に
温泉マーク。これは”山香温泉 風の郷”。
ここからだったら500m歩く程度なので
徒歩でも行ける。
↑ちょうど等高線のところに横穴墓がある。
これからわかるように、横穴墓はこの段差を
利用してつくられたもの。
---------------------
たいがい史跡という史跡を周ったと
思ってたけど、まだまだ知らないものが
あります。
↓古墳付近はこんな感じで
ふたまたに道がわかれてる。
左側の樹がうっそうとしてる場所へ。
火山からでた灰とか岩なんかが
たまって固まった「凝灰岩」で造られた古墳。
たくさんの地蔵菩薩が
横穴の前や、横穴の中に祀られてる。
古墳っていっても、イメージするような
あの”かぎ穴型”の古墳じゃなくて
岩壁に横へ穴を掘ってつくられた
洞窟のようなお墓です。
横穴は、全部で4基。
↓こんな感じで地平面から
ばらばらの高さに造られてる。
又井横穴墓には、
それぞれ石の扉がついてたそう。
一基だけ、そんな石扉が残ってました。
こんな感じ↓
石扉は、加工しやすい火山ゆらいの石で
鉄平石(てっぺいせき)っていう素材。
又井横穴墓からは、朱に包まれた人骨が
明治時代に発見されたそう。
こんな横穴墓で全国的に有名なのが
埼玉県にある「吉見の百穴(よしみのひゃっけつ)」。
機能性のない無駄な突起、の文字を見て吉見百穴が浮かんだけど、こいつは機能性のある(あった?)穴だった。対極だった。 pic.twitter.com/cOXbNaCiMJ
— マエホイ (@19941014a) 2016年7月16日
なんと230基の横穴墓があるらしい。
規模はちいさいけど、宇佐・高田付近だったら
宇佐市四日市の「四日市横穴群」
豊後高田市の「穴瀬横穴群」が気軽にいける古墳です。
横穴墓はいずれも古墳時代…
西暦300-600年ごろにつくられてもの。
又井横穴墓と同じ場所にあるけど
別の史跡ととらえたほうがいい
”磨崖仏(まがいぶつ)”があります。
それが又井磨崖仏(またいまがいぶつ)。
横穴墓群のなかに溶け込むように
彫られてます。
岩壁に枠彫りがされてて
その枠彫りのなかに
又井磨崖仏が線刻されてる。
彫られてる仏さまは
”見返り地蔵菩薩像”
ほかにもふたつの磨崖仏が
彫られてる。
↑上写真の向かって左側にある
人が座ってる像。
神さま仏さまじゃなくて、普通の人を
かたどったものらしい。
総高は41㎝。
そして↓こちらは
直径22.3㎝の円を線刻したもの。
風化しててみえにくくなってるけど、
この円の下に請花(うけばな)が線刻されてる。
請花の上にバク(釈迦如来)という梵字が
浅く薬研彫り(やげんぼり)してある。
断面がV字になる彫り方を”薬研彫り”というそう。
この三つの磨崖仏が
横穴墓とは違う史跡と
とらえたほうがいいと
思ったのは造られた時代が違うから。
横穴墓は古墳時代の
西暦300-600年につくられ、
磨崖仏は1500年頃につくられた。
その説明書きが
横穴墓入口付近の
岸壁に刻印されてる。
↓ほとんど文字が判別できないほど
風化してる。
↓でも説明板には、
こんな感じで彫られてたっていうのが
記されてる。
↑”天正六”が1578年のこと。
それにしても、地方の観光地にもならないような
小さな史跡は、図書館にある郷土史料を参考にすると
みつけやすいんですね。
史料によっては、ほんとにわかりやすく
丁寧に丁寧に図解してるものもあって
ありがたい。
今回参考にした史料はこちら
「山香町の文化財」(山香町教育委員会)
ネットで山香町の文化財一覧も公開してます