『左川ちか詩集』川崎賢子編,P22
「出発」
夜の口が開く森や時計台が吐き出される。
太陽は立上つて青い硝子の路を走る。
街は音楽の一片に自動車やスカァツに切り鋏まれて
飾窓の中へ飛び込む。
果物屋は朝を匂はす。
太陽はそこでも青色に数をます。
人々は空に輪を投げる。
太陽等を捕へるために。
夜が明けて、あたりは明るくなる。そして周囲の風景がみえてくる。日光が闇をつんざき、路を差す。ショーウィンドウに音楽や自動車、スカートがうつりこむ。果物の甘いにおいがただよう。そこにも太陽の光が差し込んでくる。人々は活力をもって活動を始める。
いちにちのはじまり