北九州市門司区の丸山吉野という地区に、桜峠(門司峠)という標高100m程度のちいさな峠があります。この峠は門司区の丸山という地区と、黒川という地区をむすぶ街道の一地点でした。現在、この峠のすぐとなりに「新桜トンネル」という大きなトンネルがあるために、桜峠をひとが通ることはほとんどないと考えられます。
この桜峠に庚申塔が祀られていました。こちらの小さな庚申塔は道祖神としての役目をはたしていたと考えられます。「猿田彦大神」とだけ刻まれ、建立年月などの銘はありません。
場所:福岡県北九州市門司区丸山吉野町
座標値:33.935136,130.972586
庚申塔の右奥には木製の鳥居がみえます。木製の鳥居をくぐると小さなお堂があり、お堂のすぐ裏側に、大きな石塔がまつられていました。
こちらの石塔には表面になにも刻まれていません。もしかしたら「猿田彦大神」と刻まれていたのかもしれません。この石塔の形から推測すると、これこそもともと桜峠に祀られていた庚申塔のようにも思えます。
1枚目にご紹介した小さな猿田彦大神は、もしかしたら、この大きな石塔よりも新しい時代につくられて、祀られてもののような印象をもちます。
桜峠周辺には数件の家があり、人の住んでいる家もありましたが、ほとんどが空き家となっていました。
↓こちらは桜峠の南側…黒川地区方面から坂をのぼっているときの景色です。車は1台がやっと通れるほどの幅が狭い道路です。
途中から道路はすべりどめのついた道路に変わります↓ このあたりの家は空き家となっていて、やや寂しい場所という印象をうけます。
↓峠の頂上はちょっとした広場となっています。その広場の一角に庚申塔がまつられていました。峠頂上ちかくになると、峠南側からのアプローチでは道路は車が通れないほどの狭さとなっていました。
桜峠にある案内板には、暁門という俳人が残した、桜峠について読んだ、以下のような二句が紹介されています。
夏山や 峠の茶屋に 馬休む
赤土の 道見ゆ山の 茂りかな
今はさびしい桜峠も、街道が現役であったころは茶屋があり、馬とともに人の往来がぼちぼちあったことが想像されます。