場所:福岡県北九州市八幡西区田町
座標値:33.868161,130.773680

2025年6月9日撮影
黒崎湊の常夜灯を訪ねました。黒崎湊の常夜灯は、むかしの黒崎湊の入り口に建立された石灯籠です。総高は約2.6メートルとされ、花崗岩の切石を主体とした石造りです。夜間の航海安全を確保するための「灯台」として機能し、今日の街灯の役割を果たすものでした。常夜灯は、古代からの伝統的な照明器具です。常夜灯の起源は仏教とともに日本につたわってきた石灯籠と同等の起源にさかのぼるといわれています*1。はじめは寺院に見られるものでしたが、時代とともに路傍や港にも設置され、人々の旅路を照らし、道中の安全を守る存在となっていきました*2。

黒崎湊の常夜灯は、嘉永2年(1849年)に、航海の安全を守るための灯台として建立されました。常夜灯の基礎部には、この灯籠の建立に寄与した地元の船庄屋や船頭たちの氏名が刻まれています。まさに、当時の人々が暮らしの安全を願う証だったことがわかります。この地で生きた人たちの営みや、時代がどう変化してきたかを静かに語りかけてくる、非常に貴重な存在だと考えます。黒崎湊は、現在では埋め立てなどにより消失しています*3。
黒崎湊は、隣接する小倉湊と共に、九州では少ない、九州と大阪を結ぶ乗合貨客船が発着する重要な拠点でした*4。特に、九州西南諸藩の参勤交代における人や物資の輸送にも利用され、重要な交通の要衝としての役割を担っていました。洞海湾内では、黒崎湊が主に人の運送を、若松湊が貨物の運搬を分担するという効率的な役割分担も行われていた時期がありました*5。黒崎湊は筑前国と大阪を結ぶ広域交通ネットワークの重要な結節点として、周辺地域の経済と文化、そして宿場町である黒崎宿の発展に貢献していたと考えられています。

*1:常夜灯の伝統に基づく現代公共照明デザインの研究.崔 璟暘
*3:案内板参照
*4:http://www.kaido-nagasaki.com/places/historical/historical46.html
*5:案内板参照