大分県佐伯市蒲江(かまえ)の楠本浦(くすもとむら)という地区に、王子神社が鎮座します。楠本浦は湾と山々に囲われた小さな集落です。
五基の石塔群が、王子神社参道入口脇に祀られています。庚申塔は五基の石塔群のうち二基です。五基のうち真ん中に石灯籠があり、石灯籠の両脇に庚申塔が祀られています。
場所:大分県佐伯市蒲江大字楠本浦
座標値:32.837381,131.938673
青面金剛の庚申塔
石灯籠の右側に祀られる庚申塔は、一面六臂(いちめんろっぴ)の青面金剛像(しょうめんこんごうぞう)が刻まれています。赤茶色が像表面に残っています。青面金剛の逆立った髪はのっぺりとした表現となっています。ヘルメットをかぶっているような容姿をしています。
青面金剛の足の下には線彫りされた二鶏三猿が確認できます。建立年を確認しようと、庚申塔の側面背面をみてみましたが、それらしき文字はわかりませんでした。
文字の庚申塔
石灯籠の左側に祀られている庚申塔は文字塔で、上部分が欠けてしまっているようにみえます。庚申塔正面には以下のような文字が刻まれています。
「奉待*1庚申塔」
「明和□年」
「拾月吉日」
明和の文字が見えますが、刻まれている年数までは、はっきりとわかりません。1760年代後半から1770年代初頭にかけて建立されたと考えられます。
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王子神社に関する案内板が近くに設置されています。以下、案内板の文章を抜粋します。
王子神社(元村社)
楠本浦字百ヶ谷祭神 伊弉冉命・速玉男命・事解男命
創祀 応永十年(一四〇三年)由緒
この神社は紀伊国東牟婁郡本宮村字抜戸に鎮座する熊野座神社の御分霊を、今から五八〇年前の応永十年に、当村住人 善右衛門以下六軒の里人たちが氏神として祀り、以来幾度か社殿の改築をして崇敬の誠を捧げて今日に至っている。ちなみに、創立当時はこの里には六軒しか戸数はなく、現在も六軒組みの制度が残っていて、毎年輪番制で六戸の人たちによって神社の保護管理がなされている。
主な祭日
夏越祭(六月十日) 例大祭(十一月九日)
楠本里づくりの会
*1:ほう‐じ。貴人のそばにいてその人のためにつくすこと。