こちらの美しい三重塔は、福岡県京都郡(みやこぐん)の国分寺跡に建てられた塔です。「豊前国分寺 三重塔」です。この塔の2階部分に「かに座」や「いて座」などの星座に関する彫刻が施されているといいます。でもどうして三重塔に星座が刻まれているのでしょう?その理由もふくめて調べてみたいと思います。
場所:福岡県京都郡みやこ町国分
座標値:33.678717,130.980288
↑三重塔の南側から写した写真
↓こちらが三重塔のに2階部分を写した一例です。四角で囲った部分に12星座の彫刻をみることができます。各面に3個ずつ彫刻があります。(3個×4面)で合計12星座です。
三重塔の東側が正面となるので、東側からひとつひとつの彫刻をご紹介します。東側の一番左が「ふたご座」↓
東側の真ん中が「おとめ座」↓
東側の一番右側が「かに座」↓
北側へと移ります。
北側の一番左側が「てんびん座」↓
北側の真ん中が「さそり座」↓
北側の一番右が「いて座」↓
西側へと移ります。
西側の一番左が「みずがめ座」↓
西側の真ん中が「やぎ座」↓
わたしは、はじめこの像を見たとき、何を表しているのかわかりませんでした。龍のように見え、とても「やぎ」とは思えませんでした。しかし、こちらの「十二宮/豊前国分寺の三重塔 京都郡みやこ町豊津 : いるか書房別館」のサイトを拝読すると、まちがいなく「やぎ座」を表しているとのことです。この像は、神話に登場する怪魚「マカラ」をあらわしているようです(マカラ (神話) - Wikipedia)。
「やぎ座」=「磨羯宮(まかつきゅう)」
「磨羯(まかつ)」=「怪魚マカラ」
こういうつながりがあり、山羊の形ではなく、龍のかたちのような像が刻まれているのでしょう。
西側の一番右が「うお座」↓
最後に南側へと移ります。
南側の一番左が「おひつじ座」↓
南側の真ん中が「おうし座」↓
南側の一番右が「しし座」↓
しかしどうして三重塔に12星座が刻まれているのでしょう?その理由が案内看板に記載されていました。その内容をざっくりと箇条書きにすると以下のようになります。
・この三重塔に宝塔(ほうとう)の機能が盛り込まれた
・真言密教では宝塔を大日如来のシンボルとする
・大日如来は宇宙の主である
・宇宙を表現する目的で星座を浮き彫りした
この塔自体が大日如来を表し、その大日如来(=宇宙)を中心に描かれる曼荼羅(まんだら)を簡単にあらわしたものが、これら12星座の彫刻のようです(参照:両界曼荼羅 - Wikipedia)(参照:京都国立博物館 星曼荼羅)。
国分寺の建立の目的や、これら星座を三重塔に刻んだ目的はなんだったのでしょう?
国分寺は、全国の国ごとに造られた国立の寺院の総称で(参照)で、国分寺が設立された当時(奈良時代)の日本は、病気が流行するとともに、作物の不作が続いていました。これらの害悪から人々を守ってほしいという願いから、豊前の国分寺を含め、星座の彫刻も造られたようです(参照:史蹟 豊前国分寺 案内板)。