福岡県嘉麻(かま)市に首渕(つぶろぶち)という場所があると知り行ってみることにしました。この渕のそばには、宝暦元年(1751年)に建てられた「市杵島姫命(いちきしまひめ)」が祀られる祠があるといいます。
その情報が得られたのは、『遠賀川-流域の文化誌』P197です。首渕とは、なんとも奇妙な名前です。渕の名前に”首”という文字が含まれると、おどろおどろしい言い伝えがあるのではないかと思ったのですが、そうではないようです。首渕の言い伝えは以下のとおりです。
首渕の水を持ち帰り、田にまけば田の水は涸れないといわれている。旱魃(かんばつ)の時、降雨を祈願するには酒を淵に流すが、その時小蛇が出ると雨になり、効果がない時はカニが岩の上にあがるといわれる。
↓首渕(つぶろぶち)
場所:福岡県嘉麻市桑野
座標値:33.496059,130.798086
首渕の上流には小さな滝があります。小さな滝とはいっても、わたしが訪れた2019年9月8日(日)には大量の水が流れていました。「ドドドド…」と大きな音をたてる落水が大迫力でした。
この首渕に行くには、大分県日田市から福岡県北九州市八幡西区まで続く国道211号線を走る必要があります。国道211号線を、南方向(福岡県→大分県方向)へ走ると、「首渕橋」という小さな橋が見えます↓
この首渕橋の手前、左方向へ旧道が伸びています↓
旧道を5分ほど徒歩で進むと、旧道の右側に首渕にまで降りる石段が見えてきます↓
石段の先には鳥居と、滝が見えています↑
鳥居の額束には「瀑布宮」と書かれているようです↓
滝のそばには1基の石塔と、1基の祠が祀られています↓
↓この石祠こそが宝暦元年(1751年)に建てられた「市杵島姫命(いちきしまひめ)」が祀られる祠です。
市杵島姫命は宗像神社の祭神で、弁財天と習合して水の神として祀られ、川船船頭の神だけでなく農業神としても信仰があった(遠賀川-流域の文化誌P197)
石祠のとなりにある石塔には、その中央部に文字が刻まれています。その内容はわたしには理解ができませんでした。しかし、文字の下のほうに「辨財天守護」という文字は判別できました。弁財天の文字があるということは、『遠賀川』P197の内容と整合します。この石塔は弁財天を祀るものだということが想像できます。