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福岡県在住。各地の史跡巡りが好きで、九州北部を中心にNikon D750をメイン機として史跡を撮っています。詳しい撮影場所は各記事に座標値として載せていますので、座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで撮影場所が表示されます。参考にされてください。

秋月街道 猪膝宿(いのひざのしゅく)に残る史跡 福岡県田川市猪国

豊前国小倉藩と筑後国久留米藩を結んでいた秋月(あきづき)街道。秋月街道沿いの宿場町のひとつとして「猪膝宿(いのひざのしゅく)」があります。宿場町には、高い確率で庚申塔がまつられています。そのため庚申塔をさがしに猪膝宿へと足をはこびました。

 

猪膝宿跡である猪国の集落南西端に、白鳥神社が鎮座します。この白鳥神社境内に庚申塔がまつられていました。

街道沿いに鎮座する白鳥神社

白鳥神社境内に祀られている庚申塔は4基あり、以下の場所に祀られていました。

 

33.5868294,130.790395

33.5873451,130.7902679

33.587324,130.790275

33.587298,130.790271

 

①の庚申塔は下の写真のようにかなりごつごつとした自然石に「猿田彦大神」とだけ刻まれたものです。建立年は確認できませんでした。

②③④の庚申塔は、三基横一列に並べられていました。左から順番に②③④です。②③はわずかに「猿田彦大神」という文字が確認できます。しかし④は、もう文字は読み取ることができません。おそらく同じように猿田彦大神の文字がきざまれていたのではないでしょうか。

建立年の文字を確認すると…

 

②文化丙寅 仲冬吉日

③宝暦三歳 酉七月吉祥日

④(判読できず、一部「宝」という文字がみえる)

 

…という文字が確認できました。これらの文字から建立年を読み取ると…

 

②1806年

③1753年

④不明

 

…となります。

 

庚申塔のお話はここまでで、今度は猪膝宿全体に目をうつしてみます。

 

下の航空写真は猪膝宿(いのひざのしゅく)であった集落のものです。集落の真ん中に、綺麗に町を分断するように小道がつっきっています。これが秋月街道です。猪膝宿のまんなかを通っている秋月街道の長さを地形図で計測すると、約810mです。この南北に縦長の猪膝宿は、上町・中町・下町に分けて呼ばれます。

集落の中央部…いまでは猪膝公民館と白鳥保育園となっている場所には、猪膝手永(てなが)庄屋猪膝家の屋敷と、濠(ほり)があったと伝えられています。

 

白鳥保育園の南側に立派な門構えの屋敷が残っています。この屋敷は庄屋屋敷の名残なのかもしれません。

猪膝宿は宿場町の機能をもつ町であったと同時に、豊前と筑前との交通の要(かなめ)でした。小倉藩にとっては重要な場所であったため、小倉藩は猪膝宿の整備をはかり本陣をつくったということです。

 

本陣は、参勤交代のとき大名が休息する場所でした。本陣の場所は、宿場の中央部のあたりで、密厳寺(みつごんじ)ふきんといわれています。参照:『秋月街道をゆく(秋月街道ネットワークの会編)』P.51

 

 

猪膝宿(いのひざのしゅく)の北構口(きたかまえぐち)ふきんには、新しく常夜灯篭が建立されています。

北構口の常夜灯

場所:福岡県田川市猪国

座標値:33.593890,130.793569

 

しかし北構口の遺構らしきものは残っていません。

石灯籠には平成七年八月吉日の銘があり、1995年に設置されたことがわかります。

石灯籠のすぐ近くに、これまた、新しく作られ設置されたとおもわれる道標があります。「従是東 中津道」「従是 南筑前八丁越」と刻まれています。

 

”これより東側は中津道””これより南側には八丁越”があるという意味です。中津道は中津街道のことと思われ、九州の北東側を走っている小倉と中津を結ぶ街道のことを指すと考えられます。

 

八丁越(はっちょうごえ)は525mの峠です。猪膝宿、中津街道、八丁越のおおざっぱな位置関係を地図で示すと以下のようになります。

猪膝宿の南側に八丁越、東側に中津街道…たしかに、猪膝宿に設置された国境石の表示通りとなっています。

 

北構口の跡はのこっていませんが、南側の構口(かまえぐち)は残っています。

座標値:33.588371,130.791912

 

そして南構口のすぐとなりには「太刀洗の井戸(たちあらいのいど)」も残っています。

 

太刀洗の井戸は昔日本武尊(やまとたけるのみこと)がこの地方の土賊・猪折(いおり)と討伐したとき、この井戸で剱を洗ったとの伝説がある。旱魃(かんばつ)の時でも涸れることのない冷水である(参照:案内板)

 

猪膝宿のちょうど西側に標高255mの小山があります。この山からの地下水が、この井戸ふきんからしみだしてきているのだと考えられます。

伝承通り、たしかに現在でも井戸はたくさんの水をたたえています。

最後に、猪膝宿の南端部に鎮座する白鳥神社のクスノキをご紹介します。白鳥神社には、田川市指定の天然記念物として二本のクスノキが植生しています。

 

下の写真は参道の右側にあるクスノキです。その枝張りの直径は約19.3mにもなります。

樹高は約39.0m、胸高周囲6.05mです。樹齢を重ねたクスノキ特有で、根もとは非常にどっしりとしています。まるで地面を大きな手がガシッとつかんでいるような迫力があります。

 

参道左側にある、もう一本のクスノキの樹高はさらに高く50.1mとなっています。幹の半分あたりで二つに分かれています。

樹齢についてはクスノキの案内板には紹介されていませんが、猪膝宿がもっとも栄えていた江戸時代にも、これらのクスノキは生きていたのではないかと考えられます。