神楽(かぐら)といえば、むかしからの風習が色濃く残されている地域で、舞われているという印象があります。福岡県の北九州市であれば、小倉南区などの農村地域でしか、神楽はみられないのだろうと、かってに思い込んでいました。
『北九州市史(民俗編)』のP628を読んでいると、北九州市若松区の戸脇神社(とわきじんじゃ)で、神楽が毎年10月に舞われていると紹介されていました。戸脇神社は以前、庚申塔をさがしにいったことのある神社です。
念のため、ネットでも、ほんとうに現在も神楽が継承されているのか確認してみましたが、情報はたくさんでてきました。
場所:福岡県北九州市若松区乙丸 戸脇神社
座標値:33.908786,130.694725
『北九州市史』P628によると、この神楽は秋の収穫を神に感謝するために、江戸時代から行なわれてきたものであることが紹介されています。
筑前御殿神楽はいつどこで行なわれる?
筑前御殿神楽(ちくぜんごてんかぐら)と呼ばれる神楽が、”毎年10月8日の戸脇神社での奉納を皮切りに、12/12 の十二所神社(八幡西区引野)まで、旧遠賀郡の神社 16 社で順次行われ”ます(参照:筑前御殿神楽PDF)
筑前御殿神楽 | 日峯神社ホームページには、筑前御殿神楽の詳細な日程が紹介されています。
御神楽が起源 里神楽の要素をとりいれている
神職や僧侶をうけついできた家を社家(しゃけ)と呼ぶそうですが、その社家のみで舞われるのが筑前御殿神楽です。筑前御殿神楽は、皇居のなかでおこなわれている御神楽が起源であるそうです。
一方で、演目のなかには、採り物と呼ばれる道具(剣など)をもって舞う「舞神楽」、神のお面をつけて舞う「面神楽」から構成され、里神楽の要素も取り入れられているようです(参照:日峯神社 筑前御殿神楽とは)
いろんな、神楽の名前がでてきたので、じぶんなりに整理してみます。
以前、合馬神楽を調べるときに作成した神楽の分類です↓ 御神楽と里神楽は、ちがう分類となっています。
筑前御殿神楽を構成する、面神楽や舞神楽は「出雲流の神楽」と考えられ、これらは里神楽となります。また戸脇神社でさいごに行われる湯立神事は、「伊勢流の神楽」の要素です。ちなみに、この湯立神事が現在も継承されているのは、北九州市では戸脇神社だけなのだそうです(参照:筑前御殿神楽 | 日峯神社ホームページ)
こうしてみると、筑前御殿神楽も、たくさんの神楽の要素をとりいれているのですね。しかし、もともとは皇居で舞われる御神楽として生まれたようです。