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福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

国東半島の基盤になっている岩石がみられる場所 大分県国東市国東町小原

場所:大分県国東市国東町小原

座標値:33.542097,131.744465

 

大分県、国東半島(くにさきはんとう)に黒津崎(くろつざき)という場所があります。「崎」という文字がついているとおり、海岸につきだした岩場です。黒津崎は国東半島の東端にあたります。

国東半島は、その大部分が安山岩(あんざんがん)という、地下のマグマが地表近くで急速に固まってできた岩石で覆われています。安山岩は火山岩に分類されます。地形図naviで場所を確認してみると、オレンジ色で示された部分が安山岩・玄武岩質安山岩という岩石で構成されていることがわかります。

そんななか、黒津崎で限定的に、花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)という岩石がみられます。下の地質図naviをみてみると、赤色で示された場所です。

花崗閃緑岩は、マグマが地下深くで、ゆっくりと冷えて固まった岩石に分類されます。花崗閃緑岩は深成岩に分類されます▼

つまり、国東半島は大部分が火山岩であるのに、黒津崎だけ種類のことなる深成岩がみられるということになります。どうして、このようなことが起きるのか?

 

大分県ホームページの、こちらの資料を参照してみます。

 

もともと、大分県 国東半島の下には基盤として領家帯(りょうけたい)という地盤があり、その地盤のうえに、あとから新しい溶岩が覆ったということが示されています。

 

大分県における領家帯の変成岩・花崗岩類は新期の火山岩類に広くおおわれ,わずかに国東半島と朝地地域にみられるにすぎない。ボーリング調査では豊肥火山地域の基盤をなしていることが知られている。国東半島の変成岩・花崗岩類は日豊本線中山香駅から安岐町安岐ダム付近までと国東半島東海岸の黒津崎から臼石鼻にかけての地域に分布するが,新期火山岩類におおわれて点在的に分布するにすぎない。

 

参照:PDF大分県の地質と地形,P.5

 

「新規火山岩類」というのは、つまり、国東半島の中央部に位置する両子山(ふたごやま・ふたごさん)から噴出された溶岩と考えられます。イメージ図を下に示します▼

 

では領家帯(りょうけたい)というのはなんなのでしょう?西南日本を関東から九州東部へ横断する大きな断層がはしっています。中央構造線と呼ばれるものです。この中央構造線の北側にある、関東から九州までつづいている帯状の岩盤が領家帯です。

 

参照:中央構造線 - Wikipedia

 

▲国東半島も領家帯に含まれている

 

領家帯を構成する岩盤は、いまから2億130万年前から1億4550万年前につくられたものと考えられています。

 

参照:領家変成帯の岩石 | 大鹿村中央構造線博物館

参照:3.2 対象地域の地質環境

 

この期間はジュラ紀と呼ばれています。ジュラ紀につくられた岩石が、のちの時代である、1億4550万年前から6600万年前である白亜紀に、高温低圧型の変性作用をうけました。こうした作用をうけた岩石のために変成岩と呼ばれます。静岡県の「奥領家」という地名にちなんで、特に領家変成岩と呼ばれます。

 

地質図naviでは、領家帯の一部にふくまれる黒津崎(くろつざき)の岩石は、さらに具体的な形成時期が示されています。後期白亜紀のセノマニアン期~サントニアン期です。つまり約8660万年前~8300万年前です。

 

領家帯を覆う両子山の溶岩は、更新世後期に噴出されたことがわかっています。12万6000年前~1万1700年前です。

 

つまり、国東半島は下のイメージ図のように構成されていると予想されます▼

そして、黒津崎は「覆い」である両子山の岩石が削れ、国東半島の基盤となっている領家帯の岩石が露出している場所であると考えられます。

以下は、黒津崎の風景と、変性作用をうけた岩をご紹介してゆきます。

黒津崎でみられる岩石は、領家変成岩と考えられます。温度と圧力をうけて変性をうけています。領家変成岩の場合は、平行に反対方向への力(剪断応力)をうけているために、岩石に方向性の構造がみられます▼ 岩石に縞模様がみえます。この縞模様(片麻)がみえる岩は片麻岩と呼ばれると考えられます。

 

参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E9%BA%BB%E5%B2%A9

 

片麻岩のほかに、地下深くでゆっくりと固まってできた花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)もみられます▼

岩をよく観察してみると、白いスジがはしっていることがわかります。これはもしかしたらペグマタイトと呼ばれる構造かもしれません参照。通常の岩石の場合とは異なり、高温のマグマが地下深くでゆっくりと冷めることで、結晶が長い時間をかけて岩の壁にはりついて成長し、このような大きな結晶ができたと考えられます。

「おしり岩」の中央部にも、大きな白いスジがみえる▼

参照:PDF.https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2111927.pdf

参照:PDF.豊後杵築地域の地質