福岡県北九州市の門司区(もじく)、白野江(しらのえ)という地区に櫛ノ鼻(くしのはな)という海岸があります。ここに3億5000万年前の海底に繁殖したウミユリや火山灰が岩石化したものをみることができます。
場所:福岡県北九州市門司区白野江
座標値:33.947208,131.021549
ウミユリというのは、ヒトデやウニと同じ仲間である棘皮動物(きょくひどうぶつ)の一種です。梅花石(ばいかせき)というのは、このウミユリの茎のようにみえる部分の横断面が、梅の花のように見えるためにつけられた名前です。
北九州市のホームページに、その梅花石の実際の写真が掲載されています▼
【県指定】梅花石岩層 附 梅花石大形置物 1個 - 北九州市
櫛ノ鼻に足を運んで梅花石を探してみましたが、ホームページに紹介されているような、美しい模様の石をみつけることはできませんでした。ただ、ウミユリが含まれている母岩である輝緑凝灰岩(きりょくぎょうかいがん)を、たくさんみることができました。
そして、輝緑凝灰岩の割れ目に、おそらく炭酸カルシウム(CaCO3)の結晶である方解石脈(ほうかいせきみゃく)が入り込んでいる風景をたくさん確認することができました。▼下の写真を見てみると、やや緑色がかった岩の隙間に、白いスジがはしっていることがわかります。
この白いスジが、炭酸カルシウムの結晶である方解石脈であると考えられます。このように、岩石(母岩)の割れ目に鉱石が入り込んで、満たされたものを鉱脈と呼びます。
鉱脈は、どのようにしてできるのでしょうか?以下に示してみます。
母岩となる岩石に割れ目ができ、その割れ目に熱水やガスが繰り返し流れ込んでいきます。熱水やガスに溶け込んでいた鉱物が、岩石の割れ目の壁面に沈殿してゆきます。繰り返し沈殿がおき、岩石の割れ目を鉱物が埋めるようになります。こうして鉱脈ができます。
梅花岩石層でみられる鉱脈は、母岩が輝緑凝灰岩(きりょくぎょうかいがん)で、鉱脈が方解石(ほうかいせき)だと考えられます。
輝緑凝灰岩は、塩基性火山岩や凝灰岩が変質した岩石で、緻密で堅い性質をもっています。片状構造をもっており、圧力が加わった方向と垂直に、板状・針状に変成鉱物が並んでいます。つまり、パリッと平行面でわれやすい構造をもつものもあるそうです。
▼下の写真は、輝緑凝灰岩の片状構造の特徴がよくわかるのではないかと思います。
輝緑凝灰岩は、緑色~赤紫色をしています。梅花積層の場所を訪れた日は、天気の良い日だったために、岩石の色の様子がよくわかりました。
海岸を30分ほど探し回りましたが、イメージするような梅花石をみつけることはできませんでした。もしかしたら、そのような岩は採取しつくされてしまっているのかもしれません。
以下に、もしかしたらウミユリの化石かな?と思えるものを、ご紹介してみます▼