福岡県北九州市の八幡西区、屋敷(やしき)という地区と、東浜町(ひがしはままち)という地区に、2つの小さな山があります。道伯山(どうはくさん)と妙見山(みょうけんさん)です。この2つの山は、新生代のメッシニアン期~鮮新世(せんしんせい)…つまり約500万年前~約258万年前…につくられた火山です。それぞれの山の上部では、火山岩の一種である玄武岩をみることができます。
道伯山の高さは62.6m、妙見山の高さは41mと、とても低い山です。
道伯山
場所:福岡県北九州市八幡西区屋敷
座標値:33.870122,130.773160
妙見山
場所:福岡県北九州市八幡西区東浜町
座標値:33.871930,130.778857
地質図naviで、この山の地質を確認してみます▼ 花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)の上に玄武岩(げんぶがん)が乗っているような形になっています。おそらく地下深い場所でマグマが冷えてかたまった花崗閃緑岩の割れ目からマグマが噴出して固まり、玄武岩が山頂ふきんにできあがったと考えられます。
道伯山(どうはくさん)の山頂までは、車がとおれる舗装道がつづいています。また山頂ふきんに車10台ほどが停められるスペースがあります。
道伯山山頂駐車場
道伯山には、むかし黒崎城が築かれていました。黒崎城は、1601年から造られはじめ、1615年に役目を終えました。道伯山の駐車場のすぐそばに、城の石垣が残されています▼
道伯山山頂南には黒崎城の石垣があり,その下に水平方向の流理を持つ溶岩が露出している.
参照:PDF,小倉地域の地質,地域地質研究報告 ,P.92‐93
道伯山山頂には広場があり、ところどころに岩石が露出している箇所があります。岩石は灰黒色をしており、表面はのっぺりとしています。地質図naviでは、これらが玄武岩であることが示されています。
水平方向の流理(りゅうり)…つまり晶出した結晶がほぼ平行に配列して縞模様となっている…があるということですが、よくよく岩石を観察してみると、かすかに縞模様のようなものが確認できます▼
▼こちらの玄武岩は、もしかしたら、その流理に沿って割れたものかもしれません。
道伯山山頂の広場の様子▼
道伯山北東の神社の社殿付近には基盤の香春花崗閃緑岩が,また社殿脇から道伯山に登る階段には風化した降下スコリア堆積物が露出している.
参照:PDF,小倉地域の地質,地域地質研究報告 ,P.92‐93
▼こちらは道伯山の北東部に鎮座する住吉神社です。社殿のすぐそばに大きな香春花崗閃緑岩(かわらかこうせんりょくがん)があります。
場所:福岡県北九州市八幡西区屋敷
座標値:33.871252,130.774519
花崗閃緑岩は、山頂部にある玄武岩とは異なり、地下深くのマグマがゆっくりかたまってできた岩石です。そのため鉱物がぎっしりと詰まってできており、おそらくパリッと簡単に割れてしまうような石質ではないと考えられます。
周囲におちている石を見てみると、細かくくだけたような石は少ないようにみえます。砕けているにしてもゴロンと大きな石という感じです。
次に、妙見山(みょうけんさん)のほうへ足を運んでみます。妙見山の西側のふもとに妙見神社が鎮座しています。そこを目指します。
道伯山の山頂駐車場に車を停め、道伯山ふもとの住吉神社を経由し、妙見山ふもとの妙見神社へと徒歩で進む。全行程580mほどで、距離は短い。
▼妙見神社の鳥居。
神社境内には社殿はなく、木製の祠だけがまつられていました▼
神社の周辺には、たくさんの岩がころがっています。位置的には花崗閃緑岩と玄武岩との地質の境目なので、どちらの岩であるかが、素人目では判断できません。しかし、道伯山の山頂でみたような、横方向の流理がみえないために、深成岩(しんせいがん)である花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)かもしれません▼