「天籟寺(てんらいじ)」という西鉄バス停留所のすぐちかくに、「天籟寺のおしろい地蔵」が祀られています。
場所:福岡県北九州市戸畑区天籟(てんらい)寺
座標値:33.8885339,130.8305091
この「おしろい地蔵」が祀られているという情報は『北九州市史(民俗)』P581に紹介されていました。
天籟寺二丁目三に「おしろい地蔵」または「七薬師地蔵」と呼ばれる地蔵がまつられている。これは、天明八年(1788)に林清次郎が天籟寺にお地蔵さんを建て、林家でまつっていたものであるが、一説には昔、豊前国企救郡西谷村の豊前坊の城が落ちたとき、城主の姫は四人の腰元と同じ姿で、顔に白粉を塗り、落ち延びて沢見まで来たところを敵兵に発見されて殺されたのを、村人たちが哀れみ、地蔵を作り冥福を祈ったといわれ、今も信者が絶えない(北九州市史(民俗)P581-582)
子どもの百日咳や病気を治したいときなどに、地蔵の顔に白粉を塗ったといわれます。現在は、もうそのような風習はのこっていないらしく、お地蔵さまの顔には白粉はぬられていませんでした。
訪れたさいの「おしろい地蔵」の様子と、北九州市史(民俗)P582に掲載されている「おしろい地蔵」の写真とをくらべてみると、お堂がコンクリート製になり、雨どいや柵などもとりつけられているようです。現在でも大切にまもられていることがわかります。
この「おしろい地蔵」、もうひとつ言い伝えがあります。むかし天籟山の天賀城が落城したとき城主(天賀三郎永行)の姫や侍女など七人が自害し、その七人の遺体を埋葬した上にこれら地蔵を建立したともいわれています(北九州市史(民俗)P582)。