福岡県朝倉郡にある大刀洗(たちあらい)駅に、本物のジェット機が展示されているという情報を、『九州の鉄道おもしろ史(西日本新聞社)』のP64-67で得て、実際に行って、見ることにしました。
そのジェット機というのは「航空自衛隊T33ジェット練習機」です。太刀洗駅 駅舎の屋根と同じ高さの屋外に展示されているため、一見すると、屋根の上にジェット機が乗せられているように見えます。
場所:福岡県朝倉郡筑前町高田
座標値:33.413688,130.619137
どうして駅にジェット機が?
どうして駅舎にジェット機が展示されているのか?『九州の鉄道おもしろ史(西日本新聞社)』P64-65には、その経緯が紹介されています。その経緯を簡単にご紹介すると以下のようになります。
・太刀洗駅は元国鉄甘木線のひとつの駅だった
・1986年に国鉄から甘木鉄道会社へ経営権がうつった
・経営が合理化
・地元建設会社社長の淵上氏が太刀洗駅を借り受けた
・太刀洗駅の一部を太刀洗平和記念館とした
・記念館には太刀洗飛行場関係の遺品や写真が展示された
・淵上氏はT33ジェット機を自衛隊から払い下げた
・駅舎前にT33を展示した
ジェット機を少し引いた場所から撮影してみました↑ 後ろの建物の看板には「太刀洗レトロステーション」とかかれています。この建物は昔つかわれていた駅舎だそう(参照:P65)で、現在使用されている駅舎はこちらです↓
太刀洗駅はそもそもどんな場所だった?
太刀洗駅の南側約170mの地点に「筑前町立大刀洗平和記念館」が建設されています。もともと駅舎の一部を淵上氏個人が記念館としていました。2009年に筑前町がこの記念館を移築しました。
でも、どうして太刀洗駅周辺で、このような記念館を淵上氏が造ったのでしょう?太刀洗飛行場が1919年に、この場所に建設されたためです。しかし飛行場が建設された当時は、まだ、太刀洗駅は存在していませんでした。
軍の飛行場があったために、これに伴い、飛行場ふきんの地域(主に甘木地区)に、高射砲隊・陸軍病院などの軍施設が建設されていきました(参照:P66)。これら施設へ物資を輸送する目的で、現在の甘木線が建設されました。1939年のことです。甘木線の開通とともに、太刀洗駅も営業を開始しました。
太刀洗駅周辺地域は、軍の飛行場と、それに関連する施設があったのだということがわかりました。飛行場は太刀洗駅の南東方向へ約500m行った場所…現在はキリンビール工場の敷地となっている…にあったそうです(参照)。このような経緯から、太刀洗駅近くには戦争資料がたくさん展示されている「平和記念館」が建設されたのですね。