大分県の国東半島へ、ある庚申塔(こうしんとう)に会うために行きました。雨がそぼそぼと降る、2019年7月14日(日)のことです。どしゃぶりの雨というほどではありませんが、傘をさしていなければ、着ている服がしっかり水を吸い込んでしまうほとの雨です。向ったのは以下の場所です。
場所:大分県国東市国東町成仏 山神社
※座標値は庚申塔が祀られている場所です
この場所に庚申塔があるという情報が得られたのは、小林幸弘氏が運営するホームページ『国東半島の庚申塔』からです。
http://5884koshinto.my.coocan.jp/
ホームページのなかに「庚申塔追補30選」という項目があり、そのなかの21番目の庚申塔に目をひかれ、行ってみることにしたのです。
その庚申塔には青面金剛(しょうめんこんごう)像が、主尊として刻まれています。庚申塔の実際の写真がこちらです。
青面金剛は、ひとつの顔に4本の腕をもっています。4本の腕はまるで軟体動物のようにクネクネと曲がり、それぞれの手に槍などの道具をもっています。
主尊の両脇には二童子が控えています。
また主尊の足元には二鶏、さらにその下には三猿が刻まれています。
塔の一番下には庚申講に所属するメンバーの名前が10名ほど刻まれています。これらの像は、とても深く刻まれており、像の保存状態も良いようにみえます。
庚申塔の側面には「元禄十二丁未 十二月十六日」と刻まれ、西暦1699年12月16日にこの庚申塔が建立されたことがわかります。
塔全体に独特な雰囲気がただよい、これが、鬱蒼とした杜に囲まれる神社拝殿の裏側にひっそりと祀られています。この怪しげ…神秘的な雰囲気が国東半島の庚申塔に特徴的であると感じます。
雨が降るなか、三脚を立てての撮影となりました。雨が降っていると、写真の撮影には悪条件と思い込んでいました。しかし今日は、雨により濡れた庚申塔は、その色が濃くなり、樹々の間からそそいでくる淡い太陽の光が、像の凹凸をきわだたせてくれました。
雨天が庚申塔の神秘的雰囲気を引き出してくれているようでした。