筑豊の近代化遺産(弦書房)を読んでいて、松岩という興味深い炭鉱用語を見つけることができました(P92)。
松岩というのは、石炭層のなかにまじっている石炭になりきれなかった石(珪化木;けいかぼく)のことです。この石の特徴は、とても硬くて重いこと。
筑豊炭田で石炭を採るとき、なかなか機械化が進まなかったそうですが、この硬い松岩が多くて、石炭の採掘を邪魔してしまうからなのだそうです。そのため、松岩はやっかいもの扱いされ、ゲッテン(手に負えない)石とも呼ばれました。
その、ゴロゴロでてくる松岩を逆に利用したのが松岩石垣です。実際の写真がこちらです↓
場所:福岡県宮若市磯光
座標値:33.7055,130.6774005
ふつうの石垣のように見えますが、ひとつひとつの石をよく観察すると、ふつうの石とはちょっと違うことがわかります。
石炭に特徴的な光沢のある黒色と、年輪がつくりだす独特の模様を石の表面に見ることができます。
この石垣をみることができたのは、宮若市の磯光という地区ですが、この石垣以外にも、付近を探索してみると、ところどころに松岩石垣を見つけることができました。
松岩は炭鉱側にとって捨てるのに金がかかる厄介者だから、もちろんただである。(中略) 石は硬くて割れにくいので、うまく積み上げれば長持ちするであろう(P92)
筑豊の近代化遺産(弦書房)のP92、P93には松岩建造物群として、石垣の他、松岩庭園、松岩排水路、さらに松岩でつくられた墓標などが紹介されています。
松岩排水路は飯塚市の日鉄嘉穂鉱業所跡の住宅地で見ることができるそうですが、これを探しに行ってみましたが詳細な場所を特定することができず、探索を断念しました。
↓筑豊の近代化遺産(弦書房)P93
また、松岩についてネットで探していると、こちらのブログで松岩菩提供養塔というものがあることを知りました。こちらの供養塔も探しにいってみました。しかし、付近に「松岩菩提供養塔」の案内板があるものの、なかなか見つけ出すことができませんでした。
なんとか、「おそらくここから供養塔まで行くのだろう」という道を見つけ出しても…
多量のクモの巣と、やぶ蚊に阻まれ行くのを断念しました。しかし位置は特定できたので、ここにメモを残しておきます。
松岩菩提供養塔の位置情報
場所:福岡県鞍手郡小竹町新多
座標値:33.697303,130.691473
松岩菩提供養塔へ至る山道入口の位置情報
座標値:33.696367,130.692189
山道の入口へと続く道は、民家の前を通ります。一見、民家の敷地内に入ってしまうのではないかと躊躇してしまいますが、敷地内に入るわけではありません。
温かい時期だと、やぶ蚊や、クモの巣がやっかいです。そしてスズメバチもいる(参照)ようなので、それなりの装備と注意が必要だと思います。