九州国立博物館に行って、自然散策路という、博物館の裏手を通っている遊歩道を歩いていると「浦ノ田遺跡」みつけました。小さな五輪塔と板碑が、タケノコのようににょきにょき地面から生えていたので、気になって足をとめました。
ミニチュアのような五輪塔が、なんとも愛らしかったので写真に撮ってみました。案内の看板がすぐ近くにあったので読んでみると、こんなことが書かれていました。
・太宰府天満宮境内の南東にあたる丘で発見された遺跡
・五輪塔、板碑を立てた20か所の石塔群と火葬骨を納めた穴が発見された
・鎌倉後半から室町時代の大きな墓地と考えられている
・保存状態のいい3つの石塔群を移築、復元した
昔の集団墓地のようです。↑上の写真には板碑(いたび)が何基が写っています。その板碑には梵字(ぼんじ)が刻まれています。
ちょっと判別はしにくいけど、どうも阿弥陀如来を表す梵字のようです。板碑の上部は山形で、二段の切込みが入っています。この切込みは二条線と呼ぶそうです。
だいたい板碑の上部のみが地面からでていますが、全体像はこんな形状になっているそうです。(図解文化財の見方―歴史散歩の手引から引用)
こういった板碑に刻まれる梵字は阿弥陀如来が多いそうで、やっぱり浦ノ田遺跡の板碑に刻まれる梵字も阿弥陀如来なんでしょう。
↑こちらは大分県最古といわれる板碑。国東市の護聖寺(ごしょうじ)というお寺に祀られています。こちらの板碑は三つの梵字が刻まれ、阿弥陀如来の両脇に、勢至菩薩と観世音菩薩がおられる三尊をあらわしています。はじめてこの板碑をみたときは、何を表しているのか不思議でしたが、だんだん詳しいことがわかってくると、おもしろいものです。
よくよくを図解文化財の見方―歴史散歩の手引読みこんでみると、板碑には梵字を蓮の上に刻むこともあるらしく、これで蓮に乗っている如来を表すのだということがわかりました。
この蓮に乗る梵字をひとくくりにして種子(しゅじ)と呼び、この一文字からすべての功徳が生じると考えられたそうです。種子(しゅじ)は、その名前の通り植物の種子から来ました。ここからいろんなことが生まれ育っていってほしいという願いが、この文字に込められているんでしょうね。