福岡県の北部、遠賀郡(おんがぐん)と宗像市(むなかたし)との間をへだてる、おおきな四つの山があります。
湯川山(ゆかわやま)、孔大寺山(こだいしやま)、金山(かなやま)、城山(じょうやま)の4つの連山です。遠方からながめると4つのふくらみが見えるために「四塚連山(よつつかれんざん)」と呼ばれています。
↑福岡県宗像市山田ふきんから眺める孔大寺山(こだいしやま)
↑福岡県宗像市山田ふきんから眺める金山(かなやま)、城山(じょうやま)方面
一見すると、なんの変哲もない山なのですが、「残丘山地(ざんきゅうさんち)」に分類されるめずらしい山々です。残丘山地はモナドノック(monadnock)とも呼ばれます。地質図naviで確認してみると、いまから1億2500万年前~1億1300万年前につくられた安山岩により四塚連山は構成されていることがわかります。
残丘(ざんきゅう)→「残った丘」で、風雨や水の流れによる侵食に耐えて残った丘です。水や風による侵食作用により、比較的やわらかい地質を持つ箇所は先にけずられ、比較的かたい地質を持つ箇所は残りました。その残った箇所が丘となりました。
四塚連山は安山岩で主に構成されています。実際に湯川山(ゆかわやま)におちている岩石をみにいってみました。車道沿いに大きな岩石がところどころに確認できます。
場所:福岡県遠賀郡岡垣町原
座標値:33.872333,130.561679
この、やや黒っぽい岩石が安山岩なのでしょうか。
安山岩は、マグマが地表ふきんで急激に冷やされてできた火成岩で、火成岩のなかでは比較的黒っぽい色をしています。二酸化ケイ素の含有量がすくないからです。たしかに実際の岩石をみてみると黒っぽい感じがします。
道端に転がっている岩石だけでなく、道路脇の山の斜面にも、土から岩石がのぞいています。
岩は角ばっており叩くと「パリン」と割れそうな質感をもっています。
参照:倉敷市立自然史博物館.安山岩
国土地理院地図の3次元表示機能で四塚連山を確認してみると、たしかに「丘が残っている」ようにも見えます。この山々の周辺地域は主に砂岩や砂丘堆積物など比較的やわらかい地質で構成されています。
日本のなかで、おなじようにつくられた残丘地形があるのか調べてみると、以下のものがみつかりました。
岩手県の早池峰山(はやちねさん)
福島県の大滝根山(おおたきねやま)
長野県の虫倉山(むしくらやま)
東京都の大岳山(おおたけさん)
埼玉県の御岳山(みたけさん)
愛知県の茶臼山(ちゃうすやま)
愛知県の古町高山(ふるまちたかやま)
参照:地形・地質情報ポータルサイト(旧,地質情報ポータルサイト)
↓こちらの写真は、孔大寺山(こだいしやま)と金山(かなやま)との間にある地蔵峠ふきんです。地蔵峠ふきんでは山肌に岩が露出しているような箇所はなさそうでした。そのため車では素通りしました。
場所:福岡県宗像市山田 県道291号
座標値:33.841246,130.581227