大分県の玖珠(くす)郡玖珠町では、日本でもめずらしい地形をみることができます。テーブル状になった台地で「メサ」と呼ばれる地形です。
場所:大分県玖珠郡玖珠町
強度がちがう地質がとなりあっている場合、軟らかい地層のほうが早く風化・侵食され、硬い地層のほうがあまり風化・浸食されません。硬くて浸食されなかった土地が、台地状にのこっているとき「メサ」と呼ばれます。メサがさらに浸食され、ひとつの孤立した丘になっているものが「ビュート」と呼ばれます。
玖珠郡(くすぐん)には、こんなにめずらしい地形が玖珠町の南北に存在しています。玖珠町では、メサやビュートがどのような位置にあるか、下の略図で示してみます。
万年山(はねやま)
標高1140.2mの万年山(はねやま)は、上万年(うわばね)と下万年(したばね)とに分かれる珍しい2段メサです。
上万年は、流紋岩で構成され、下万年は安山岩で構成されています。つくられた年代は、どちらも77万4000年前~12万9000年前に噴出してできたチバニアン期の溶岩です。
参照:Wikipedia‐メサ
下の写真は万年山登山道で撮った写真です。おそらく下万年を通る登山道から撮ったもので、右奥に見える上万年よりも一段低くなっています。メサの上面はこんなに平らになっています。
伐株山(きりかぶさん)
下の写真は伐株山(きりかぶさん)で、こちらはビュートです。ビュートは孤立丘と訳されることもあります。その名前のとおり切り株のように山頂ふきんが平らできれいなかたちの山になっています。
たいらな山頂からは玖珠川がながれる玖珠盆地(くすぼんち)をみおろすことができます。玖珠盆地は玖珠川などに浸食されてできた地形です。湿度のたかいときには、盆地に湿気が溜まりやすいのか、下の写真のような雲海が発生します。
伐株山山頂ふきんは流紋岩(りゅうもんがん)で構成されています。流紋岩がどのような岩石なのか見慣れていないのでわかりませんが、山頂ふきんで探してみました。流紋岩は、地表ちかくでマグマが急に冷やされてつくられた溶岩です。また二酸化ケイ素が多くふくまれているので白っぽい岩でもあります。冷やされた過程が急であるため、岩に含まれる結晶が成長しきれず小さいままなのも特徴のひとつです。
マグマが流れるときにできる結晶の配列が線状になっているため「流紋」…ながれるような模様…という名前がついています。下の写真の岩石はなんとなく流紋の名にふさわしい模様がはいっています。
岩の表面は細かいガラス質の結晶で構成されています。
大岩扇山(おおがんせんざん)
玖珠町の北側に、山頂が平らなふたつの山がそびえます。「大岩扇山(おおがんせんざん)」と「小岩扇山(こがんせんざん)」です。これらはいずれもメサです。
下の写真は大岩扇山をふもとからみあげた写真です。大岩扇山の西側にある道路からみあげたものです。この山肌をみると、なんとなく柱状節理がみえるように思えます。大岩扇山と小岩扇山は、どちらも安山岩・玄武岩質安山岩で構成され、万年山の下万年とおなじ地質です。流紋岩で構成されている伐株山よりも黒っぽい岩の色です。
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玖珠町をとりかこむ山々は、すこしの地質のちがいはありますが、ほぼ同じ時期につくられた溶岩です。地質図naviを参照すると、これらの山々は「第四紀」…つまり258万8000年前から現在まで…の比較的あたらしい時代につくられたものだということがわかります。