福岡県北九州市小倉南区の南端に位置する「頂吉(かぐめよし)」という地区。めずらしい地名をしています。この地名の由来が『北九州市文化財調査報告書〈第10集〉頂吉(かぐめよし) (1972年)』P.1-2に記されています。
ここでは頂吉という名前の由来について、ざっくりと分けて2つの説が紹介されています。一部文章をかえて、その説を以下にご紹介します。
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①大河内川の「頂石」が「頂吉」に変わった説
本村という場所より、さらに大河内川の上流域に、大きな巌がある。その巌は比較的ちいさな岩の上に重なって乗っている。巌と岩とのあいだには小さな石がはさまっているという。その姿が大巌を頂(かぐ)めている形をしているので、「頂石(かぐめいし)」という号がつけられた。いつのころからか「頂石」が「頂吉」という文字にかわった。
②福智山の「頭石(かぐめいし)」が「頂吉」に変わった説
現在、福智山(ふくちやま)と呼ばれる山の頂きに大岩があった。そのため、福智山はもともと「頭石山」と呼ばれていた。弘仁(こうにん)二年…811年…英彦山 座主である法蓮が福智山に入山し修行した。このときより頭石山は福智山とよばれるようになった。
福智山のもともとの名前である「頭石(かぐめいし)」という文字が、明治のはじめごろ、「頂吉」に変わった。
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福智山の「頭石」はさておいて、大河内川の「頂石」は、実際にさがせそうです。『北九州市文化財調査報告書〈第10集〉頂吉(かぐめよし) (1972年)』のなかで、頂石(かぐめいし)について記載されているのは以下のページの4箇所です。
・P.1
・P.57
・P.93
・P.131
これらの情報をもとに、ほんとうに「頂石」があるのかさがしてみました。頂石は、大河内川という名前の川ではなく、「山ノ神川」のそばにありました。
場所:福岡県北九州市小倉南区大字頂吉
座標値:33.7425105,130.8348625
山ノ神橋を起点に、山ノ神川に沿ってはしっている林道沿いに、約1.17㎞すすむと左手側に頂石はみえてきます。左手側には山ノ神川があるので、林道と山ノ神川にはさまれるかたちで「頂石」があります。
林道から山ノ神川のそばに降りて、頂石のそばまでいくと、岩のそばに「かぐめ大岩」という看板がたてられているのがわかりました。
はじめ気づかず、いちどこの岩のそばを通り過ぎて、もっと上流へいってしまいました。「頂石はみつからないな」と諦めて帰途についたときに、たまたま、この大岩に気づきました。「かぐめ大岩」の看板がもっとわかりやすい場所に立てられていたら…と感じます。