北九州市八幡西区の楠橋(くすばし)南に、ちいさな「愛宕(あたご)神社」という社が鎮座しています。愛宕神社の総本社は京都市にあり、防火の神さまを祀る神社として知られています参照。ここ、楠橋南の愛宕神社も、防火の願いがこめられて建立された社と考えられます。鳥居の額面には「愛宕山」と刻まれています。「愛宕山」の名前の通り、国土地理院地図の土地の凹凸をあらわしてくれる「色別標高図」で、「愛宕神社」ふきんをながめてみると、ぽっこりとした丘になっていることがわかります。
現在の愛宕山は、すこし小高い丘陵地にある住宅街のいっかくという感じです。しかし住宅街となる以前は、この場所はちょっとした小山であったのかもしれません。
この愛宕山にある愛宕神社境内に、数基の石塔とともに庚申塔がまつられていました。下の写真にうつっている石塔のうち、一番右側にある石塔が庚申塔です。
場所:福岡県北九州市八幡西区楠橋南
座標値:33.785155,130.733807
庚申塔には「興玉神(おきたまのかみ)」と大きく刻まれています。
庚申塔にむかって右側面に建立年月らしき銘が刻まれています。
建立年の銘部分を拡大した写真が下の写真です。風化により、かなり見にくくなっていますが「文化八辛未歳」と刻まれているようです。文化八年、つまり1811年に建立されたことがわかります。1811年の干支(かんし)は辛未(かのとひつじ)で、刻まれている文字と整合します。
建立年の銘の左隣に「□月□日」という文字がみえますが、風化がはげしく、わたしには判別することができませんでした。
庚申塔の裏面と左側面には何も銘はありませんでした。
愛宕神社周囲には駐車場などはなく、狭い路地が迷路のようにいりくんでいる住宅街です。神社の前がすこしだけ道幅がひろくなっているので、ここに車を停めさせてもらい、極力参拝の時間をかけないよう配慮する必要がありました。