福岡県田川郡香春(かわら)町には香春岳(かわらだけ)と呼ばれる石灰岩でできた山があります。外見がとてもきみょうな山で、採石により山の頭の部分がまったいらになっています。
香春岳は一ノ岳、二ノ岳、三ノ岳にわかれており、上の写真のように山頂がまったいらになっているのは一ノ岳です参照。
そして香春岳の三ノ岳からは、むかし銅がとられていたようで、その歴史は古く奈良時代にまでさかのぼります。
平安時代には、大分県宇佐市にある宇佐神宮へ奉納するための銅鏡が、ここ香春の清祀殿(せいしでん)でつくられていたといわれます。清祀殿に運ばれてきていた銅は三ノ岳の神間歩(かみまぶ)という採掘所で採られていました。
日々の楽しいを見つけるブログ-宇佐神宮へ奉納する鏡をつくっていた史跡-
そんな香春岳の玄関口がJR日田彦山線の駅「採銅所」です。「採銅所」駅は日田彦山線が開通した当時の、小倉鉄道の時代から、そのままの姿をのこしています。採銅所駅のことを知ったのは『筑豊の近代化遺産(筑豊近代遺産研究会編)』P.55を読んでです。ここでは大正四年の開業時の姿を今に伝える貴重な建築物だ…と紹介されています。
場所:福岡県田川郡香春町採銅所
座標値:33.707161,130.853332
採銅所駅舎の石碑にきざまれている説明文を、以下、そのまま抜粋してみます。
香春町指定有形文化財
駅舎は、大正4年3月(1915)に建築された小倉鉄道開通時の中で現存する唯一の建物です。駅舎の構造から見ても当時の一級品で近代化遺産としても非常に価値が高いと言えます。
規模は、正面15.58m、側面7.2mで棟高4.9mを図る寄棟造の近代洋風木造駅舎です。
外側壁面の飾りや、待合室天井の星型文様など大正モダンを感じさせます。
わたしは建築様式のことはまったくわかりません。でもベンチや柱、天井、窓枠など、ひとつひとつのパーツをみていくと、たしかに素人目でも、凝った造りをしているな…ということが感じられます。
大正時代につくられたといわれますが、外見はとても新しいので、手直しがされたのでしょう。いつごろ手直しがされたのか調べてみると、2011年だそうです参照。
老朽化した駅舎は、2010年にJR九州から香春町へ無料でゆずられ、1000万円をかけて3カ月で改修されました。
Wikipedia-採銅所駅-では、改修前の駅舎の写真が掲載されています。その写真と現在の写真をみくらべてみても、たしかに、原型そのままです。改修後には、駅舎のとなりに”第二待合室”がつくられ、香春町の移住・交流拠点として使用されているようです。2020年11月14日におとずれたときにも、スタッフのかたが”第二待合室”におられました。
下の写真では”第二待合室”は駅舎の右側にあります。わたしが訪れたとき、複数のかたが出入りしていました。小さな駅なのですが、”閑散としている駅”という雰囲気ではありませんでした。
駅舎の南側…約50mの地点に無料の駐車場があります。