北九州市小倉南区の西水町という地区に貴布祢神社がまつられています。この神社に680年ちかく前につくられた梵字板碑がまつられているといいます。
境内にはいって拝殿を前にします。拝殿右奥のほうにプラスチックトタン屋根が設置されているのがみえます。その屋根のしたに二基の石塔がまつられています。
どちらの石塔もわたしの背丈をこす、おおきなものです。これらのうち、文字が刻まれているのが左側の石塔です。
場所:福岡県北九州市小倉南区西水町
座標値:33.851683,130.892345
左側の石塔が「自然石梵字板碑」と思われます。そうすると、案内板によると、この石塔は高さが182㎝あることになります。
板碑の上部に阿弥陀如来をあらわす梵字「キリーク」がきざまれています↓
そして板碑の左下側に「康永第二天暦癸未三月十三日」の文字が刻まれます。康永二年は1343年で干支は癸未(みずのとひつじ)です参照↓
その他、この梵字板碑について、案内板に書かれている情報を箇条書きでご紹介すると以下のようになります。
・梵字、年号以外に文字が刻まれていない
・そのため造られた目的は不明
・北九州市内で年紀を刻んでいる板碑はこれが最古のもの
・もともと水町橋付近にたてられていた
・鉄道敷設その他諸事情で大正14年に貴布祢神社に移設された
この梵字板碑は別名「升塚」と呼ばれています。升塚の名前の由来についても、案内板に書かれています。以下、箇条書きでご紹介します。
・この地方では昔さだめられた升がなかった
・ある村人が升をきめてもらおうと鎌倉にあがった
・3年間幕府にうったえた
・しかし目的をはたさないまま村人は死んだ
・将軍はこのことを不憫におもった
・さっそく升を決めさせた
・喜んだ村人たちはお祝いをし石碑をたてた
この石碑をたてたという伝説と、この板碑がつながったようで、梵字板碑が升塚という名で呼ばれるようになったそうです。
↓二基の石塔のうち、右側の石塔にはなにも文字は刻まれておらず、詳細は不明です。