大正時代末期につくられたといわれる、炭鉱の「巻き上げ機」の台座が、福岡県飯塚市の平恒という地区に残ります。巻き上げ機というのは、炭鉱の坑内へ、人や資材、石炭を積んだトロッコを引っ張るためのロープを巻き上げる機械のことです(参照:クロスロード ふくおか 巻き上げ機台座/三菱飯塚炭鉱)。
台座はレンガで造られており、レンガの黒い汚れにより台座の重厚感が増しています。
場所:福岡県飯塚市平恒
座標値:33.605641,130.691576
この史跡のことを知ったのは、『鉄道再発見の旅』P78です。『鉄道再発見の旅』では、今では廃線となった上山田線(筑豊鉄道)の平恒駅近くにある炭鉱史跡として紹介されています。この巻き上げ機台座は「三菱飯塚炭鉱 第2坑」で使用されていました。三菱飯塚炭鉱の略歴を以下に示します。
1915(大正4)年:開坑
1927年(昭和2)年:三菱飯塚炭鉱において最高石炭産出量(71万トン)を記録
1936(昭和11)年:三菱鉱業と合併
1944(昭和19)年:平恒駅、石炭積み込み専用駅から旅客取り扱い駅となる
1961(昭和36)年:閉坑
三菱飯塚炭鉱のそばには石炭輸送を目的とする上山田線が走っていました。現在(2019年)では線路跡は車道となっています。↓下の写真だと車が数台走っているのがみえる道路が線路跡です。写真の中央部に巻き上げ機台座が見えます。
この写真の巻き上げ機台座とは別に、北側約70mの場所に、もうひとつレンガ造りの台座があります。
座標値:33.606208,130.691286
こちらの台座は1番目にご紹介した台座と比較し、保存状態が良好に感じられます。この無機的な四角い建造物は、漫画『風の谷のナウシカ 7』で出てくる「シュワの墓所」を彷彿させます。
蒸気の力で稼働していた巻き上げ機。その巻き上げ機を固定していた、この台座は幅13.5m高さ12mと、筑豊地方でも最大級のものです。