福岡県北九州市若松区の乙丸(おとまる)という地区にある戸脇(とわき)神社で、2019年10月8日(火)に筑前御殿(ちくぜんごてん)神楽が舞われました。
場所:福岡県北九州市若松区大字乙丸 「戸脇神社」
座標値:33.908777,130.694710
今回の記事では面神楽(めんかぐら)の最後の舞である、「事代主(ことしろぬし)の神の舞」をご紹介します。事代主は、大黒様(大国主命)の子どもです。
事代主の神の舞は、「鯛釣り面」という別名でも呼ばれるそうです。事代主は、海の幸を与えてくれる神様です。釣り竿を持ち、神殿のお供え物を観客にわけてくれます(参照:パンフレット)。
事代主はニコニコとした表情をしており、右手に扇、左肩に釣り竿をかついで登場します。そして、舞の途中から釣り竿を鈴に変え、優雅に舞います。
事代主の舞のみどころは、舞のあとに行われるお供え物を観客に分けてくれるところです。釣り竿の先にスルメをつけて観客にむけて投げます。たくさんのかたが、我先にお供え物へと飛びつきます。
これまで、比較的静かな境内はいっきに沸き立ちます。乾物や、野菜、果物、餅、お酒(お酒の名前が書かれた札)などが室内にばら撒かれます。餅は手のひらサイズのものから、こんな巨大な鏡もちサイズものまで投げられます。
写真では、事代主の目線とは違う方向へ、巨大な餅が舞っています。こんなフェイントまで事代主は行なってきますので注意が必要です。お供え物が舞うたびに、場内からは歓声や笑い声がおきます。とてもにぎやかです。
終盤にかかると想像以上の数のお供え物が撒かれます。わたしは、お供え物をとらずに傍観する気でした。しかし、とる気がないわたしのもとにも、たびたびお供え物が飛んできて、結果、餅やミカンやお菓子をいただくことができました。
神主様がたは、場内で取りはぐれがないよう配慮して投げてくれているようです。場内くまなくお供え物がいきわたりました。
「事代主の神の舞」が終わり、面神楽も終了となりました。ここから、みなさんは「湯立神楽(ゆたてかぐら)」見物のために社殿の外へ出てゆきます。面神楽終了時点では、観客はざっと60人ほどおられたと思います。社殿にはいりきらず、屋外から見物される方々もおられました。
ふだんは人気のない小さな神社に、こんなに人が集まるとは思いませんでした。
次回の記事は、筑前御殿神楽さいごの「湯立神楽」のご紹介を行ないます。湯立神楽が残っているのは珍しく、北九州市内では、ここ戸脇神社のみなのだそうです(参照)。