日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。各地の史跡巡りが好きで、九州北部を中心にNikon D750をメイン機として史跡を撮っています。詳しい撮影場所は各記事に座標値として載せていますので、座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで撮影場所が表示されます。参考にされてください。

天念寺 修正鬼会 2020年 ③/④ ~夜の勤行と立役の一部~ 大分県豊後高田市長岩屋

国東半島に1000年前から伝わる儀式である修正鬼会(しゅじょうおにえ)が、2020年1月31日(金)に開催されました。場所は大分県豊後高田市長岩屋にある天念寺(てんねんじ)講堂です。

講堂の中廊下で行なわれる香水(こうずい) 天念寺の修正鬼会

講堂の中廊下で行なわれる香水(こうずい)

場所:大分県豊後高田市長岩屋

座標値:33.578583,131.540714

 

前回のふたつの記事…

天念寺 修正鬼会 2020年 ①/④ ~身を清める垢離(こうり)取り~

天念寺 修正鬼会 2020年 ②/④ ~大松明を直立させるタイアゲ~

…に引き続き、今回の記事では講堂内での勤行についてご紹介します。勤行は昼間に、その半分が行なわれ、夜の21時ごろからは残りの半分が行なわれています。

 

今回の記事では、夜の勤行と立役(たちやく)の一部をご紹介します。f:id:regenerationderhydra:20200203195635j:plain

↑上のスケジュールでは「タイアゲ」の後、「夜の勤行」があり、その後に「立役(たちやく)」がはじまっています。夜の勤行というのは、下のプログラムの1~8の項目を指します。

 

1.伽陀
2.懴法
3.初夜
4.仏名
5.法咒師
6.神分
7.三十二相
8.縁起目録
9.米華
10.開白
11.香水
12.四方固
13.鈴鬼
14.災払鬼
15.荒鬼
16.鬼の目撒
17.鬼後咒

 

参照:天念寺修正鬼会調査報告 『行事の次第』〔豊後高田市教育委員会〕P.4-15

 

青文字の1~8までが座行が主で、9~17までが主に立って行なう勤行のために立役(たちやく)と呼ばれています。

 

1-8のプログラム(差定;さじょう)を行なう際は講堂の床にはゴザと座布団が敷かれ火鉢も用意されています。9の米華から僧侶は下駄をはき踊るので、ゴザなどは片づけられます。

まだ煙が充満している講堂内に僧侶が入ってこられました 天念寺の修正鬼会

夜の勤行の始まり まだ煙が充満している講堂内に僧侶が入ってこられました

写真は21時頃タイアゲ(松明の直立)が終了し、講堂内に僧侶が入場してきた様子です。堂内にはまだ松明の煙が充満しています。 

 

本堂の正面に祀られる薬師如来坐像に向かって右側にハヤシカタの5人が一列に内側に向いて座ります。そして、左右に僧侶が2列に、ハヤシカタと同様、内側に向いて座ります。

 

1.伽陀
2.懴法
3.初夜
4.仏名
5.法咒師
6.神分
7.三十二相
8.縁起目録

 

これら1~8の項目は見ている側からすると、どこからどこまでが、1の伽陀で、どこからが2の懴法なんだろう?とわかりずらいです。ただ5の法咒師(ほうじゅし、ほうずし)は2人の僧侶が剣・鈴・香水棒を持って登場するためわかりやすいです。

天念寺の修正鬼会 法咒師

法咒師

2人の僧侶が剣・鈴・香水棒を持って拝殿に向かって拝み、経を唱え、決められた所作を行ない祈祷します。

 

1-8までは厳かな雰囲気です。礼拝や読経などが行なわれ、見学している側から見ると動きが少ない勤行なので、ちょっと退屈する時間でもあります。

 

しかしプログラム9の米華(まいけ)からは、少し場内の雰囲気が変わってきます。米華が始まる前に、僧侶は色のついた華やかな衣装を脱ぎ、下駄に履き替えます。床に敷かれていたゴザや火鉢は片づけられ、講堂内はややあわただしい雰囲気となります。これから新展開となることを彷彿とさせます。

 

その予想どおり、これまで厳しい表情をしていた僧侶も、9の米華からは、表情がほころび、ざっくばらんとした雰囲気が場内にただよいます。

米華 まいけ 天念寺の修正鬼会

米華(まいけ)

 

米華は2人の僧侶が、右手に香水棒(こうずいぼう)、左手に牛王杖・白米・わらを入れた膳を持って踊ります。最後に観衆に背を向け膳の上の白米などをうしろ向きに撒きます。

米華 白米など膳の中身をうしろへ撒いた 天念寺の修正鬼会

米華 白米など膳の中身をうしろへ撒いた

白米を食べれば健康となり、わらを悪い部分に巻くと治癒し、牛王杖を田の水口に立てておくと虫よけの護符となると云われます。

鈴鬼(すずおに) 天念寺の修正鬼会

鈴鬼(すずおに)

こちらはプログラム13の鈴鬼(すずおに)です。僧侶の1人は男の鈴鬼面をかぶり、もう1人の僧侶は女の鈴鬼面をかぶります。2人とも筒袖の格子縞のハッピを着て、片手にウチワ、もう片手には鈴を持ちます。

 

奏楽はない場内で声と鈴の音だけで調子をとり、「鈴鬼の舞」を演じます。鈴鬼の舞は以下の10種類に分かれています。

 

参照:『国東半島の修正鬼会』(大分県文化財調査報告書 第39輯 大分県教育委員会、昭和五十二年三月刊)

 

Ⅰ.ミヤワセ、テトンボ

Ⅱ.ヒドコマネキ、テトンボ

Ⅲ.ミアワセ、テトンボ

Ⅳ.ハシラヨセ、テトンボ

Ⅴ.オガミマネキ、テトンボ

Ⅵ.コンゴウレイカケ、テトンボ

Ⅶ.ウチワカケ、テトンボ

Ⅷ.ウシロムキ、マエムキ、テトンボ

Ⅸ.ケカヤシ、テトンボ

Ⅹ.鬼マネキ(テトンボナシ)

 

特に、Ⅹの鬼マネキは、プログラム14、15で登場する災払鬼(赤鬼)と荒鬼(黒鬼)を招くための法舞です。

鈴鬼 天念寺の修正鬼会

プログラム13の鈴鬼まで、ザッとご紹介しました。今年の修正鬼会は、何か所かプログラムの内容が省略されていたような感じがします。また、香水という法舞が講堂の中央ではなく、講堂の中廊下で行なわれたのは初めて見ました。淡々と典儀を行なうのではなく、年を追うごとに変わってくる観客の反応や数に応じ、内容を徐々に変えているのかもしれません。

 

次回の記事では、修正鬼会(しゅじょうおにえ)で最も盛り上がるプログラムとなる14.災払鬼、15.荒鬼、16.鬼の目撒、17.鬼後咒をご紹介したいと思います。

天念寺の修正鬼会 スケジュール

今回の記事で参照させていただいた、『天念寺修正鬼会調査報告 『行事の次第』〔豊後高田市教育委員会〕』は小林幸弘氏のご厚意によりいただきました。