福岡県北九州市若松区にも、宗像大社 沖津宮の遥拝所があるということで、その場所を訪ねてみました。
福岡県 宗像大社には、三つのお宮があり、それぞれに女神さまが祀られています。
その三つのお宮のひとつに、玄界灘に浮かぶ沖津宮があります。この沖津宮に立ち入れるのは、神職のかたのみ。島自体がご神体であり、島すべてが宗像大社の境内地です。
参照:宗像大社公式HP
http://www.munakata-taisha.or.jp/html/sangu_syosai.html#okitsu
そのため、沖津宮にお参りできないかたのために、宗像市の大島という場所に遥拝所があることはよく知られています。しかし、北九州市若松区小竹にも沖津宮の遥拝所があるということを、『北九州市史 民俗』P593で知り行ってみることにしました。
北九州市史には以下のように場所の説明が記載されています。
小竹の白山神社のわきを抜けて脇ノ浦へ出る道の竹藪の中に「沖津宮」という小さな石の祠がある。
地形図で頓田貯水池ふきんから脇ノ浦方向へ抜ける道が、ほんとうにあるのか確認してみます。たしかに、昔からの農道とおぼしき細い道が地図上では確認することができます↓
白山という地区から脇ノ浦方向へ小道が伸び、途中、財ノ峠(さやのとうげ)を経由します↑
白山神社(北九州市若松区小竹)には、何度か足を運んだことがありますが、神社までの道は、車が1台やっととおれるほどの細い道。地元のかたの車とであってしまうと、迷惑がかかるために、徒歩で、まずは白山神社をめざすことにしました。
白山地区から白山神社方向へ向かう途中↑ 神社ふきんはうっそうとした杜に囲まれています。
うっそうとした杜に入り、白山神社前の十字路につきました↓
白山神社を右手に十字路を過ぎて、さらに脇ノ浦(北東)方向へ歩を進めます。軽自動車がやっと一台通れるほどの道幅ですが、道路は舗装されています。十字路から北東へ約67m行った場所で沖津宮らしき、小さな神社をみつけることができました↓
場所:福岡県北九州市若松区大字小竹
座標値:33.913842,130.744486
↓鳥居の額束には、たしかに沖津宮の文字が刻まれています。
↓沖津宮はとても小さく、「神社」というよりも、祠のみを祀るためにつくられた敷地という感じです。『北九州市史』P593にも”竹藪の中に、「沖津宮」という小さな石の祠がある”とだけ記されています。
もしかしたら、北九州市史(民俗)が作成されてからのちに、この沖津宮は祠が竹やぶのなかから移動され、しっかりと鳥居や手水鉢が設置されたのかもしれません。
次は祠の方へ目を向けてみます↓
『北九州市史(民俗)』に祠についても記述されています。
祠の裏面にある石には丸い穴があいており、穴からのぞくと海が見え、遠く沖ノ島を拝むためのものだったと伝えられる。
実際に祠の背面には丸い穴があいています↓ 周囲はうっそうとした杜ですが、昔は樹々が整備され、この場所から玄界灘を望むことができたのかもしれません。
祠のなかには両手把持できるほどの大きさの自然石がひとつ祀られていました。祠や灯篭には建立年月日などを示す記銘は確認できませんでした。
沖津宮(若松区小竹)周辺は、うすぐらい森のなかで、道路にはクモの巣がところどころにかかっていました。やぶ蚊が多く、ときどきスズメバチが飛んでいることもありました。現在では、人がくることはあまりないのだなと想像されました。