福岡県直方市植木に天満宮というお宮があります。そのお宮には、こんな立派な樹が鎮座しています。
その樹の根元に、ある石塔が祀られていました。こんな感じ↓で幹の空洞になった場所に、その石塔は祀られています。
その石塔を正面から見てみます↓
石塔に刻まれる文字を拡大してみます↓
中央部に「べんざいてん」と刻まれ、向かって右側には「元禄十四年」、左側には「四月良日」と見えます。元禄十四年は西暦1701年です。
”べんざいてん”というのはどういう神さまなのか?どういった思いでこの石塔が祀られるようになったのか?どうして弁財天さまが、天満宮に祀られているのか?気になったので調べることにしました。
弁才天(べんざいてん)は、仏教の守護神である天部の一つ。ヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティー(Sarasvatī)が、仏教に取り込まれた呼び名である。神仏習合によって神道にも取り込まれ、様々な日本的変容を遂げた(参照)
ウィキペディアでは上記の説明に追加して、さらに以下の説明がなされています。
原語の「サラスヴァティー」は、12世紀に編集されたと言われるインドで最も古い聖典『リグ・ヴェーダ』に現れる聖なる河とその化身の名である。水の女神であるが、次第に芸術・学問などの知を司る女神と見做されるようになった。
もともとは、弁財天さまは水の神様だったようです。水の神様が後に芸術の神さまとなったのだそう。
書籍「遠賀川」(香月靖晴著)のp183「水運の神々の没落」という項に、この弁財天の石塔のことが紹介されていました。遠賀川がまだ水運の手段として重要だったころは、遠賀川流域に水に関係する神さまが多く祀られていったようです。
しかし、遠賀川が水運としての機能がなくなった今は、こうやって祀られていった神さまは、その役割を終えていったようです。植木の天満宮に祀られているこの弁財天さまも、水に関係する神さまのうちのひとつだったのでしょう。