福岡県の鞍手郡に、とても珍しい「七鬼神庚申塔」がまつられていました。Google mapで永谷天満宮に投稿されている写真をながめていたら、「七鬼神」と刻まれた石塔がうつっていました。「これは見に行かねば」と思い、行ってみることにしました。
七鬼神庚申塔とは
七鬼神庚申塔は、『遠賀川-流域の文化誌-(香月靖晴著)』P.42-43に紹介されています。ここでは福岡県 直方(のおがた)市の植木という地区にまつられる七鬼神庚申塔が紹介されています。七鬼神が庚申塔であるという根拠については…
・植木では元日に七庚申詣りをする
・鞍手地方では正月七日を庚申の誕生日とし初庚申をする
・庚申さんは七人のお伴をつれている
・ 庚申さんに供養すると七倍にして返してくれる
・一年のうち庚申の日が七回ある七庚申の年はよいことがある
…という云われが伝わっており、庚申が数字の七と関係が深いことが述べられています。
また、鬼神については…災いをもたらす神は、敬うことによって幸福をもたらす…という御霊信仰(ごりょうしんこう)というのがあって、この御霊信仰から「鬼神」も敬えば、福をもたらしてくれる、と考えられつけられたそうです。
永谷天満宮の七鬼神庚申塔
鞍手郡にも七鬼神庚申塔があるとは、新しい発見です。さっそく天満宮へと足を運びます。天満宮前に車が駐車できるほどのスペースはあったのですが、人の気配もあり、遠慮して離れた場所に車を停めて徒歩にて永谷天満宮へといきました。
鳥居にむかって右側にも七鬼神庚申塔とは別の庚申塔がまつられています。この庚申塔は別の機会で、ご紹介します。
本殿に向かって右奥に、庚申塔がみえてきました。浮き彫りされた石仏とともにまつられています。
庚申塔の表面は、一部が剥落しており、文字がみえにくくなっています。しかし「七鬼神」という文字は確認できます。庚申塔背面は土に埋もれており、記銘は確認できませんでした。
場所:福岡県鞍手郡鞍手町永谷
座標値:33.799221,130.6428375
庚申塔のとなりに祀られている石仏には、「宝暦十(西暦1760年)」という文字が刻まれているようにみえます。直方(のおがた)市でみつけた七鬼神庚申塔のうち一基は、1826年の建立です。今回、永谷天満宮でみつけた七鬼神庚申塔はいつごろの建立なのでしょう。となりに祀られる石仏の建立年から1700年代後半でしょうか。
直方市で見つけた七鬼神庚申塔については、以下、2つの記事でご紹介しています。
珍しい庚申塔 七鬼神庚申塔を探してみた 直方市植木 - 日々の”楽しい”をみつけるブログ
福岡県直方市(のおがたし)の特殊な庚申塔 - 日々の”楽しい”をみつけるブログ