福岡県 京都(みやこ)郡の苅田(かんだ)町新津(あらつ)に大原八幡神社が鎮座します。この神社参道脇におおきな庚申塔がまつられていました。
一の鳥居脇に庚申塔がまつられています。
場所:福岡県京都郡苅田町新津
座標値:33.751547,130.970371
猿田彦太神とのみ刻まれており、建立年などの銘は確認することはできませんでした。
裏面を確認しても銘はみあたらず。
地形図に自然地形の地形分類図をかぶせて、大原八幡神社と庚申塔の位置関係を地図で確認してみます。神社は19.3mと比較的標高のたかい山地にあり、庚申塔はそれよりも10mほど低い平野部にまつられています。
2022年現在、庚申塔の周囲は住宅地となっています。すこし昔(1960年代)の航空写真をみてみると、庚申塔周囲は田園がひろがっていたことがわかります。大原八幡神社へむかって田んぼのなかをまっすぐに道がのびています。庚申塔はその道のはじまり部にまつられていたことがわかります。地形図の「氾濫平野(緑色部)」と田園部がちょうどかさなっています。そして「台地(オレンジ色部)」上には住宅が昔から建てられています。川流域の平野部には住宅地がすくなく、水を多く必要とする田園がつくられていたことがわかります。そして低地におこりがちな水害を避けるようにして台地状となった場所に住宅がたてられているようでもあります。
↓2009年になると平野部の田がなくなり、住宅が建ちはじめています。
↑上写真の左下部に、綺麗に整列された住宅地、百合ヶ丘団地ができています。昔、山地、田であった場所です。
庚申塔から北西886m地点に宝修院という寺院が山のなかに建てられています。そのふきんから、ちいさな川が流れだしています。この川の水や、周辺にある小さな池の水を利用して、庚申塔周辺の田がつくられていたのだと考えられます。
下のような地形分類図をみるとき、現在の地形図と重ね合わせるよりも、治水工事がまだ未発達であった頃の地図と重ね合わせると、地形分類の特徴と実際の景観の特徴とが合致するように感じます。