福岡県北九州市八幡西区の南部へ水を供給している巨大な貯水池があります。畑貯水池と呼ばれる、北九州市と新日本製鐵(株)が共有する貯水池です。この貯水池周囲には庚申塔がまつられていたり、鯉料理屋さんがあったり、畑観音と呼ばれる史跡がのこっていたりと、北九州市街地とはちょっとちがった、古い文化のにおいが残る場所です。
畑貯水池の南側に、福岡県道61号線が中間市から北九州市小倉南区へとはしっています。この県道61号線を東方面(小倉南方面)へはしっていると、畑貯水池にさしかかる少し手前の場所で、気になる石塔が祀られています。
場所:福岡県北九州市八幡西区下畑町
座標値:33.801945,130.756724
いっけんすると庚申塔かな?と思いましたが、石塔のすぐとなりに親切にも案内板が立てられていました。その案内板には「塩土老翁祝祭」とかかれています。塩土老翁(”しおつちのおじ”、または、”しおつつのおじ”と呼ぶ参照)は、日本神話にでてくる神様です。
神話の内容によって、その役割がことなるのですが、この案内板にかかれている説明では、日向 (ひむか) にいた神武(しんぶ)天皇に、東方に美しい地 (くに) があることを教えた神様として紹介されています。
道をさし示した神さまということで、”道案内の神様”として”天明八年十一月吉日”に建てられたとされます。天明8年は西暦1788年です。
石塔を詳しくみてみます↑ 石塔の正面には「塩土老翁 祭祝」と刻まれています。
一方で石塔の左右側面と背面には、確認したところ何も刻まれていないようでした↓
この石塔をみることで以下のような疑問がおきました。
・どうして下畑という地区に塩土老翁がまつられたのか?ここはむかしの街道沿いだったのか?
・街道沿いによく祀られる道祖神や猿田彦大神ではなく、どうして塩土老翁だったのか?
このような疑問を頭のかたすみにおいて、史料探し・史跡探訪をつづけます。