日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

両子寺(ふたごじ)-奥の院とその周辺の文化財を探索 大分県国東市安岐町両子

2019年12月1日、「鬼会の里まつり 2019」に行った際、紅葉を鑑賞するために両子寺(ふたごじ;大分県国東市安岐町)に立ち寄りました。国東半島の紅葉を鑑賞する場所としては、両子寺は外せない場所です。2019年12月1日時点では残念ながら、両子寺の紅葉は見ごろを過ぎていました。境内のモミジのほとんどが、茶色く色褪せ、散っていました。両子寺は標高が高い場所にあるので、毎年およそ11月の中旬から下旬が見ごろと予想されます。

 

しかし、紅葉を楽しむだけが、両子寺へ足を運ぶ理由ではありません。広大な境内に立派なお堂、仏像、石造仏など立派な文化財があるために、通常の参拝をするだけでも両子寺に来る理由になります(参照:両子寺-境内案内)。

 

両子寺-奥の院周辺の文化財を、これまで私は詳しく見たことがありませんでした。今回の両子寺訪問では奥の院と、その周辺の文化財を見学しました。

 

奥の院の建物は岩肌に張り付くように建てられています。1846年に杵築藩主である松平候により建てられたとされています。奥の院というからに、両子寺境内でも標高の高い場所(387m)にあるため、護摩堂(355m)と比較して、参拝者の数はぐんと減ってしまいます。ましてや冬の寒い時期だと、ひとけのない奥の院周辺はなお寒々とした雰囲気となります。

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両子寺-奥の院

両子寺の奥の院には、京都の仏師作の十一面千手観音立像が祀られます。十一面観音と千手観音、ふたつの観音菩薩の特徴をあわせもつ観音像です(参照:両子寺のみ佛)。両子寺では不老長寿と、子授けのご利益があるとされます。

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両子寺 奥の院

奥の院本尊を参拝した後、奥の院の裏側にある気になる場所へ参拝します。その気になる場所とは、「奥の院岩屋洞窟」です。この場所には小さな千手観音菩薩像が祀られています。傍には飲むと不老長寿になると云われる霊水が湧いています。奥の院に向かって左側奥に洞窟への入口があります。

 入口をはいり、右に折れる洞窟内を進んでゆきます。狭くて暗い場所が苦手な妻は外で待機していました。子どもは恐る恐るではありますが、わたしと暗い洞窟内へとついてきてくれました。

凹型に彫られた岩壁に何体もの石造仏が祀られています。

 その石造仏のなかのひとつに、千手観音菩薩がおられました。100円を奉納し蝋燭を1本、燭台に立て参拝します。

こちらの洞窟は厳密には洞窟ではなく、奥の院の建物と岩壁とのすき間であるようです。建物と岩壁との接地面がぴったりと覆われているため、このように暗い場所となっているようです。

両子寺 奥の院をあとにし、長い階段をおりる途中で、「松平候内室の墓(国東塔)」と書かれた立て看板があります。これに従って脇道へ入ってゆくと、奥の院を建てたとされる松平候のお墓があります。

 

↓下の写真の中央に位置する、2基の国東塔がそのお墓です。こちらの国東塔について詳しい資料が手元にないので、建立年月などの詳細なことは不明です。

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両子寺境内にある松平候を供養する国東塔

 奥の院周辺には、もうひとつ小さな国東塔が祀られています。「両子寺崖上(がんじょう)国東塔」です。この国東塔は塔身(胴体にあたる箇所で丸みを帯びた部分)の上側に穴が開いているのが、他の国東塔とは異なる特徴です。残念ながら、崖の下からだと、その穴はみることはできませんでした。おそらくその穴にお経が書かれた巻物などを奉納したのでしょう。

両子寺境内には、他にもたくさんの見どころがありますが、今回はとりあえず奥の院とその周辺部のみにとどめておきたいと思います。