北九州市の八幡西区楠橋に寿命(じめ)という珍しい地名があります。おもしろ地名 北九州事典(瀬川負太郎著)という書籍のP203に、その地名の由来が書かれていました。
P203によると、”寺免もしくは神免、免税地に由来する”と紹介されています。寺免、神免、免税地とはなんなのでしょうか?免税地をそのままの意味でとらえると、”税が課せられない地”のことです。
それでは寺免(じめん)、神免(しんめん)はどんな意味をもつのでしょう?神免(しんめん)については、神免(シンメン)とは - 神免の読み方・歴史民俗用語 Weblio辞書というサイトに意味が説明されていました。
それによると…
江戸時代、神仏に関する土地で年貢諸役を勤めない高。
…とあります。「神社あるいはお寺があって年貢を納めるなどの役割から免除されていた土地」と、とらえられます。文中に”高”とありますが、これは高持(たかもち)のようです。
高持というのは高持百姓あるいは本百姓と呼ばれ、ざっくりいうと農民ということのようです(参照:高持(たかもち)とは - コトバンク)
江戸時代この地には神社仏閣があり、これにより付近に住んでいた農民は諸役から免除を受けていたということなのかもしれません。
ところで、この寿命(じめ)という地には、「寿命の唐戸」と呼ばれる木造の水門が残されています。その水門がこちら↓
場所:福岡県北九州市八幡西区楠橋西
座標値:33.789685,130.715041
寿命の唐戸の遠景がこちら↓
北九州市、中間市には、遠賀川から洞海湾まで堀川という人の手で掘った人工の川がつながっています。黒田長政が水田灌漑と運送目的のために、1620年に着工しました(参照:おもしろ地名 北九州事典(瀬川負太郎著)P203)
その起点が寿命(じめ)でした。遠賀川から堀川へと水を取り入れるのですが、その水量を調整する役割をもつ水門でした。