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福岡県在住。各地の史跡巡りが好きで、九州北部を中心にNikon D750をメイン機として史跡を撮っています。詳しい撮影場所は各記事に座標値として載せていますので、座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで撮影場所が表示されます。参考にされてください。

小石に写経した 北九州市若松区の一字一石塔

場所:福岡県北九州市若松区蜑住(あますみ)

座標値:33.904126,130.710014

 

仏教の教えを書いた書物が経典。その経典の文字を、一文字一文字、小石に書いたものを一字一石経(いちじいっせききょう)と呼びます。室町時代から江戸時代に流行した写経の一種だそうです(参照:九州歴史資料館 飛び出すむかしの宝物 解説シートPDF

 

こんな珍しい写経があるんだなと知ったのはテレビ番組ですが、この一字一石経が北九州市の若松という地区にも残っていました。

 

写経された小石は地面に埋められ、その上に塔がたてられます。その塔のことを一字一石塔と呼びます。北九州市の若松にあるのが、この一字一石塔です。

実際の写真がこち↓です。塔には「大乗妙典一部一字一石」という文字が正面に刻まれています。刻まれている文字がはっきりとしてわかりやすいです。建立年月日もわかります。「明和五 戌子 九月吉日」と刻まれます。明和五年は西暦1768年で、その年の干支が「戌子(みずのえね)」なので、刻まれている文字と整合します。

わたしは勘違いをしていたのですが、建てられている塔に、一文字が刻まれているものが「一字一石塔」と思っていました。そうではなく、この塔の下に埋められていた石ひとつひとつに一文字が刻まれているので、一字一石と呼ぶのですね。

 

大乗妙典とはなに?

若松の一字一石塔に刻まれる「大乗妙典」とはなんなのでしょう?調べてみると、わたしたち民衆を迷いから悟りの世界へと導いてくれる経典なのだそうです(参照:大乗妙典読誦供養塔 狭山市公式ウェブサイト)法華経(ほけきょう)を指すとも書かれています。法華経が大乗仏教の経典なので、大乗妙典とは、その名前から想像できるように大乗仏教の経典と考えてもよさそうです。

 

若松の一字一石塔 場所

県道24号線の「蜑住入口」という交差点から北側へ700mほど行った左側の集落内に、島郷四国霊場44番札所があります。この札所にはお堂が建てられています。

お堂に向かって左側に、一字一石塔は祀られています(座標値:33.904126,130.710014)。一字一石塔の両側には二体の首なし地蔵と、板状の石に刻まれた石仏、無銘の石塔、そして最近祀られたと思われる白い観音像が祀られています。

島郷四国霊場の歴史が1602年にはじまり、88か所の札所が定められたのが1748年といわれます。この一字一石塔が建てられたのが1768年なので、島郷四国霊場が定められた年と同時期といえます。

 

一字一石塔が祀られている場所のすぐちかくに、島郷四国霊場5番札所があり、ここに供養塔(1791年)や大乗妙典六十六部廻国奉納碑(1809年)も残っています。北九州市の若松は、このような仏教文化が比較的濃くあった地域だったのかもしれません。あるいは、仏教信仰に熱心なかたがおられたのかもしれません。