2018年11月10日(土)に、『「国東半島のコウシンさま」(文献出版)1981年』と、『「国東半島の庚申塔」(大分合同エデュカル)2017年』の著者である小林幸弘氏の庚申塔の調査に同行させていただきました。
小林氏の運営するホームページ(国東半島の庚申塔)
同行させていただいたのが、大分県杵築市奈多にある奈多宮(なだぐう)の境内にあるという猿田彦大神の文字塔です。
あらかじめ小林氏が杵築の図書館で、この庚申塔が奈多宮にあることを本で調べられており(ありがたいことにその資料のコピーをいただきました)、私もその調査に同行できることとなりました。
奈多宮は海に向かって、楼門が開かれています。つまり陸地側からではなく、海側から鳥居をくぐり、門をくぐり拝殿・本殿へと向かいます。
この楼門をくぐり左側へと歩を進めます。本殿を正面にすると左手側には奈多宮の宝物殿があり、この宝物殿の左奥へ進むと、たくさんの祠や、石の神様が祀られる場所へたどりつくことができます。
これらたくさんの祠の一番左側に、目標としていた庚申塔が祀られていました。↓こちらの写真でいえば、鳥居の左柱のちかくにある石塔です。幣束(へいそく)が捧げられています。
場所:大分県杵築市奈多
座標値:33.4283345,131.706372
↓庚申塔には猿田彦大神とのみ正面に刻まれており、建立年月の銘は確認できませんでした。
猿田彦大神の文字の下には、何かの像が刻まれていますが、判別が難しいほど風化が進んでいました。
上の写真の右側に写っているのは、小林氏が庚申塔をスケッチしているノートです。調査の様子を見させていただきましたが、私と比べてほんとうに丁寧に、丹念に庚申塔の調査をされていることがわかりました。
まずは庚申塔のスケッチを行ない、庚申塔の縦横奥行きなどのサイズをメジャーで計測し、それをメモし、最後に写真を撮られていました。
そのように調査された庚申塔一基一基がノートにびっしりと記録されていました。
小林氏に教えていただいたのが、庚申塔の場所がはっきりとわからないときは、すぐに地元のかたに聞くのが良いということです。
それは庚申塔の場所だけでなく、もしかしたら庚申塔に関するさらなる細かい情報や、その他、別の場所に祀られる庚申塔のことまで聞けることがあるかもしれないからということでした。
実際に、小林氏が奈多宮の神主さんに庚申塔のある場所について聞いていた際、神主さんが「これらの石塔や祠は、もともとここ(奈多宮)にあったものではなく、各所から管理が大変になったものが持ち運ばれてきた」という話も聞くことができました。
こういった情報は、その土地に詳しい方から聞かないと、なかなかわかるものではありません。
庚申塔の調査が終わった後も、小林氏は神主さんに丁寧にあいさつをされていました。調査が終わってもそのまま帰るのではなく、庚申塔が見つかったことの報告や、ご協力いただいたことのお礼を言われていました。
調査に同行させていただき、勉強になることがたくさんありました。調査のノウハウだけでなく、調査に入る前にはまずしっかりと神社や庚申さまに参拝をし、地元のかたにあいさつを行なうなどの心構えも…
また書籍を出版した際のご苦労なども聞かせていただき、とても刺激となりました。
今回いただいた資料をもとに、まだまだ国東半島の庚申塔を探索し続けてゆきたいと思います。