初夏、田植えが終わったころや秋の稲穂が波打つころ、水辺や田の水の取り入れ口に四角い竹の棚を見ることがある。これを土地の人たちは水神棚と呼んでいる。『穂波町ものがたり』P.124
こちらの写真は福岡県嘉麻市の千手(せんず)という地区でみかけた水神棚です。2018年2月25日に撮影しました。小川というか用水路の上に、この神棚が設置されていました。
場所:福岡県嘉麻市千手
座標値:33.520793,130.717544
2023年10月13日現在、Googleストリートビューでも確認することができます。
水神棚をみたのは、このときがはじめてでした。なにか神様をまつっているのだろうということは想像できましたが、どういう神様を、どういう目的にまつっているのかはわかりませんでした。
嘉麻市以外にも、北九州市若松区の蜑住(あますみ)という地区でもみかけました。
場所:福岡県北九州市若松区蜑住
座標値:33.906191,130.710357
写真にはとっていませんが、蜑住の水神棚も、2023年10月13日現在、Google ストリートビューでみることができます。
蜑住では畑のそばをながれる用水路の上に棚が設置されていました。
『穂波町ものがたり』P.124‐125を拝読して、これが”豊作に対する水の恵みの感謝のためにたてられるもの”であることがわかりました。
田植えがはじまって田に水を引く、稲の成長に大切な水の恵みを神に祈るために、この水神棚が設置されるようです。嘉麻市のものの上には陶器が置かれていたため、お酒がそなえられているものと考えられます。
各地域で、水神棚が設置される時期は異なるようです。初夏の場合もあれば、秋の収穫時期の場合もあります。
初夏の水神棚には神酒やおごくといっしょに夏の野菜も供えられ、秋の棚には、野菜や果物も供えられている。
水神棚を立てて水の恵みを祈り感謝するとともに、かつては「英彦山ガラガラを水の取り入れ口に埋めた」と古老が語っていたこともある。