各地の観光案内所や、道の駅などにおいてある観光パンフレットをみると、つい手にとってしまいます。おおくのパンフレットはイラストつきでシンプルで、読みやすいです。地域地域の「推し」がすぐにわかります。
載せられている地図には最小限の情報だけが紹介されています。「わからないことは自分で調べてね」という感じです。なかにはディープな史跡情報を紹介してくれているものもあります。
福岡県宮若市が発行している『宮若市の見どころ はやわかり まるわかり みやわかり本』を拝読していると、東禅寺(とうぜんじ)というお寺が紹介されていました。鎌倉時代に造られた梵鐘(ぼんしょう)が、このお寺に保管されているといいます。
2019年に、福岡県の遠賀町でつくられた梵鐘が広島県のお寺にあると知り、広島のお寺へ立ち寄ったことがあります。「梵鐘にもいろんな運命があるのだな」と感心した覚えがあります。
福岡県で625年前につくられた鐘が広島県にあるため訪ねた 広島県廿日市市吉和 - 日々の”楽しい”をみつけるブログ
宮若市 東禅寺の梵鐘は1215年(建保3年)に造られ、今から800年以上も前のものです。実物がこちらの写真です↓
場所:福岡県宮若市湯原
座標値:33.705040,130.602821
東禅寺本堂の軒下にさげられています。
東禅寺の梵鐘について詳しく解説されているのが福岡市博物館のホームページです。福岡市博物館のHPを参照すると…
(総高)79.4センチ
(口径)44.2センチ
池の間(いけのま)の銘文から、豊前小倉の鋳物師(いもじ)であった坂田家守によって造られた…と紹介されています。
もともとは、福岡県宗像市にある朝町八幡宮に保管されていました。その後、ここ東禅寺に運ばれてきたとのことです。
北九州市小倉北区に「鋳物師町」という地区があります。JR西小倉駅のすぐ西側です。もしかしたら、このあたりで東禅寺の梵鐘はつくられたのかもしれません。
鎌倉時代に福岡県でつくられた梵鐘はとても貴重で、2つしか残っていないそうです。ひとつが、この東禅寺の梵鐘。もうひとつが山口県の防府天満宮(ほうふてんまんぐう)に保管されている梵鐘です参照。
防府天満宮の梵鐘は、もともと福岡県 油山天福寺(てんぷくじ)で使用されていたものです。天福寺は、もう現存はしていないようです参照。