福岡県で庚申塔を探していると、昔の街道沿いで、比較的庚申塔が探しやすいことがわかってきました。そこで、長崎街道や唐津街道を主として庚申塔の場所を調べてみることにしました。
街道には、だいたい人が一日徒歩で移動できる距離ごとに、宿場町が作られているようです。今回は唐津街道の畦町宿(あぜまちしゅく:福岡県福津市畦町)に行ってみました。ここで、おもしろいものを見つけました。
場所:福岡県福津市畦町378
地図:Google マップ
宿場町の痕跡をたどるのも楽しかったのですが、今回の記事では、そのおもしろいものをご紹介します。宿場町に沿って歩いていると、たくさんの↓このような土人形に出会えます。
各家の玄関先や路傍に飾られていて、はじめて見たときは「なんなんだろう」とぎょっとしましたが、よくよく見てみると、ひとつひとつがとても愛らしい表情をしています。
模しているのは、人であったり、動物であったり、虫であったり…一見、大雑把につくられているようだけど、動物の人形だと毛並み一本一本表現されていて精巧につくられているようです。
なかでも個人的に好きだったのが、↓こちら角が生えた鬼の人形。
この顔のずんぐりとした形が絶妙。髪の毛、足の指一本一本までちゃんと表現されていますね。
畦町宿は、周りを田んぼや山に囲まれた自然の多い場所にあります。町…というか集落は小さくて、人通りも少なく少し寂しい感じがします。しかし、町のあちこちに、こういった人形があると、町を守ってくれているような感じで、寂しさが薄れます。
これらの土人形が売られているところがあったら、ほしいな…と思っていたところ、こんな看板が見つかりました。
残念ながらこの味のある人形の作者は、2015年に亡くなったそうです。広島県府中におられた高延英昭(たかのぶ ひであき)氏です。
表現されたがっているエネルギーが、いっぱい いっぱい あるのだろうなと思います。私が人形を創るのではありません。それらのエネルギーが形をとる手伝いを、私はするだけ、言ってみれば供養なのだろうなと思います。
高延氏は人形を創る原動力について、こういう風に語ったんだそうです。
唐津街道畦町宿保存会のかたが、高延氏の供養のために、街道沿いに人形たちを陳列していったのだそうです。